サッカーワールドカップ(W杯)に出場する32カ国の代表選手は、生まれ育った土地の食べ物で強い体を作り、技を磨いてきました。彼らを作り、育てた食べ物、料理はどんなものなのか。約70カ国を訪れ、「ワールドカップを食べ尽くせイベント」で32カ国の料理を一挙提供した各国・郷土料理研究家の青木ゆり子さん(e-food.jp代表)が各組から1チームを厳選し、代表的なおふくろの味を紹介します。

B組=イラン
(ポルトガル、スペイン、モロッコ、イラン)

 ポルトガル、スペイン、モロッコ、イラン…ここは一番の美食の強豪グループです。おいしさだけでは甲乙つけがたく、選ぶのに相当悩みましたが、歴史の古さからイランを選びました。広義でいえば、他の3カ国ともイラン(ペルシャ)の影響を受けているからです。

キャバーブ・トルシュ(カスピ海に面したギーラーン地方のざくろソースに漬けた牛肉ケバブ)
キャバーブ・トルシュ(カスピ海に面したギーラーン地方のざくろソースに漬けた牛肉ケバブ)

 スペインの国民的料理「パエリア」は紀元前、現在のイランを中心に栄えたペルシャ帝国から生まれたとされています。また、スペインやポルトガルのあるイベリア半島は8世紀から15世紀にかけて、およそ800年間もイスラム教徒のアラブ人らに支配されていました。アラブ料理もペルシャ起源が多いので、イランの源流の影響を受けていると言えます。

 ジブラルタル海峡を挟んで向かい側のモロッコも、アラブ人が人口の約半数を占め、食生活にもイスラムのエッセンスが加わっています。イラン料理についてあまり知られていませんが、実は肉などとてもおいしいです。歴史を感じながら食べると、印象も変わるはずです。

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