食材の価格高騰の影響もあり、野菜の摂取量が減っているように感じています。シメジエノキタケシイタケマイタケなどのキノコは「秋の味覚」と言われますが、最近では人工栽培が主流のことから一年中売られ、価格も比較的安定しています。野菜不足を感じている人はぜひ、「キノコ」を毎日の食事に取り入れてください。

今回は「キノコ」について紹介していきましょう。

原木栽培と菌床栽培

キノコを栽培するには、原木栽培と菌床栽培と2つの方法があります。原木に菌を植え付け栽培する方法は味や香りが良くなり、乾燥させると一層うま味や栄養価が高まりますが、天候や雑菌などの影響で時間がかかり、栽培量が年度によって異なります。

それに対し菌床栽培は、菌を培養し、湿度や温度が管理された工場やビニールハウスなどで生育させるため、雑菌に汚染されず安定した量の栽培が可能です。現在売られているシメジやエノキタケ、エリンギ、マイタケなどは菌床栽培が主流です。

夏になぜ安くなる?

一般的に鍋の季節に需要が高まるため、冬場はキノコの価格が上昇します。とはいえ、供給は安定しており、他の野菜のように旬の季節以外に価格が倍増するようなことはありません。

基本は洗わず、下処理が簡単

人工栽培のキノコは、基本は洗わず使います。洗うと風味が落ちてしまいますし、管理された工場内で栽培されているため、洗わなくても衛生面の心配はありません。原木栽培や自然のキノコは土などがついているため、さっと洗って汚れを落としましょう。

下処理もとても簡単です。シイタケやシメジは石つきを、エノキタケは根の部分を取って食べやすい大きさに切ります。マイタケやエリンギはそのまま切る、または手で裂いて使います。

包丁を使うよりも手で裂くことで、味が染み込みやすくなります。また、キッチンバサミを使えばまな板も不要となり、時短にもなります。料理に慣れていない1人暮らしの人にとってもキノコは使いやすい食材です。

冷凍保存で1カ月

下処理したキノコは、保存袋などに入れて冷凍保存することができます。冷凍して1カ月間ほど保存でき、使う時は冷凍のまま炒め物や汁物に使うことができます。乾燥させるとより保存性が高まるので、乾物を保存食としてストックしておくのも良いですね。

低カロリーで栄養価高い

種類によって栄養価に多少の差はあり、野菜に比べてβカロテンやビタミンCは少ないものの、低カロリーで健康に良い成分を多く含んでいます。

食物繊維やカリウムが多いため、血糖値、血圧やコレステロールが気になる人は取り入れると良いでしょう。食物繊維の中でもβグルカンを含んでいるため、免疫力アップが期待できます。ビタミンB1、B2、葉酸、ビタミンDも豊富なため、妊婦や成長期の子ども、骨粗しょう症が心配な更年期以降の女性や高齢者にもおすすめです。

実は、肝臓の働きを助けるアミノ酸の一種オルニチンは、100gあたりではシジミよりも多く含まれているものもあります。特に多いのが白いブナシメジで、シジミの約5倍もあるというデータもあります。オルニチンは睡眠の質を改善し、成長ホルモンの分泌促進の可能性があるとも報告されています。

さらに、ストレス緩和や疲労回復に効果のあるGABAも含まれています。疲れやすい人、ストレスの多い人、睡眠の質を向上させたい人にもおすすめです。スープやみそ汁といった汁物にすると水溶性の栄養も残さず摂れるため、寒くなる季節のメニューに加えてみてくださいね。

1日にキノコを食べる目安量は50~100g。個人差や体質もありますが、食物繊維が多いため、過剰になると下痢や腹痛、吐き気がみられることがあります。野菜や海藻など他に食物繊維の多い食材を一緒に摂る場合は、総量も考えてください。

管理栄養士・今井久美

<主なキノコのレシピ>
シイタケ
シメジ
エノキタケ
マイタケ