家庭でのシーン別食中毒予防

家庭での食中毒予防は、食品の購入、調理、食べるまでの過程で、どのように「つけない」「増やさない」「やっつける」を実践していくかにあります。「買い物」「家庭での保存」「下準備」「調理」「食事」「残った食品」の6つのポイントで、具体的な方法を紹介しましょう。

1、食品の購入
・肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う
・肉や魚などは、汁がほかの食品につかないよう、それぞれポリ袋に入れて持ち帰る
・冷蔵品や冷凍品など温度管理が必要な食品はすぐに持ち帰る

2、家庭での保存
・温度管理が必要な食品はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
・冷蔵庫や冷凍庫に詰めすぎない(詰めすぎると冷気の循環が悪くなる)
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持し、早めに使い切る

3、下準備
・石けんで手をよく洗う
・包丁やまな板は、肉用・魚用・野菜用と分けて使用する
・冷凍食品は必要な分だけ電子レンジで解凍、もしくは気密性の容器に入れて流水で解凍する。自然解凍は避ける
・調理器具や食器は使用後すぐに洗剤と流水で洗い、熱湯をかけると消毒効果がある。布巾は漂白剤につけると消毒効果がある。

4、調理
・手をよく洗う
・加熱調理の場合は、中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱が目安

5、食事
・食べる前に石けんで手をよく洗う
・清潔な食器を使う
・調理後の食品を室温で長く放置しない

6、残った食品
・残った食品を扱う前も手を洗う
・清潔な容器に小分けして保存する
・時間が経ち過ぎたり、少しでもあやしいと思ったら思い切って捨てる
・再加熱する場合も中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱が目安

お弁当作り

お弁当箱や箸

お弁当箱、お箸、スプーンなどはもちろん、調理器具などもしっかりと洗いましょう。弁当箱にアルコール(食品添加物タイプ)をかけることも有効です。

おかずは加熱

おかずは加熱をして食中毒菌を死滅させましょう。この時期は野菜も生ではなく、加熱調理した方が安心です。水分の多いフルーツもカットして持たせると、細菌が増える原因になるので、個包装のものやドライフルーツなどがおすすめです。詰めるときはご飯は十分に冷ましてから、おかずの水分もしっかり切ってください。

おにぎり

おにぎりを握るときはラップなどを使い、食べる時も直接手で触らないように気をつけてください。放課後の練習前後に食べる補食など、作ってから食べるまで時間があく場合は、手作りにこだわるのはやめてコンビニなどで買える市販品を利用する方が良いでしょう。

殺菌作用のある薬味を利用

殺菌作用のあるお酢、梅干し、ショウガ、シソなどを上手に活用しましょう。梅はご飯にのせるのではなく混ぜこんで、梅とご飯が触れる部分を多くするのがポイント。梅の酸味はご飯を食べやすくするので、疲れによる食事量低下を防ぎ、夏バテ予防にも役立ちます。

殺菌力のある梅干しはご飯に混ぜこんで、梅とご飯の触れる部分を多くするのがポイント
殺菌力のある梅干しはご飯に混ぜこんで、梅とご飯の触れる部分を多くするのがポイント

ミョウガ、ネギ、ショウガ、ニンニク、シソの薬味は消化促進のほか、腐敗防止、殺菌作用などにも役立ちます。おかずにも積極的に活用していきましょう。

保冷機能のある容器

現在は、様々なタイプの保冷機能付き弁当箱が売られていますので、それらを利用してもいいでしょう。例えば、そうめんやうどんを弁当に持たせる場合、スープジャーを冷やしてから汁と氷を入れると、低い温度が持続し、細菌の繁殖が防げます。

持ち運びや保管

保冷バッグやクーラーボックスに保冷剤や凍らせたゼリーなどを詰めて持ち運びましょう。保管場所は屋外なら日の当たる場所は避け、日陰に置くこと。室内なら涼しい部屋を選ぶことなどを意識しましょう。

お弁当は保冷剤と一緒に保冷バッグに入れるなどして、保管にも気をつけましょう
お弁当は保冷剤と一緒に保冷バッグに入れるなどして、保管にも気をつけましょう

また、飲み物や食べ物を同じ容器でシェアしない、ペットボトルや水筒の回し飲みはやめましょう。現在は飲食時は必要以上に話をしないことも重要となります。

<衛生用語>

●殺菌=食品の鮮度保持などを主な目的として、病原性や有害性を持つ菌などを死滅させること。
●滅菌=有害・無害を問わず、対象物に存在しているすべての菌やウイルスを死滅させるか除去し、完全な無菌状態にすること。
●消毒=有害のものや目的とするもののみ殺菌すること。対象物を使用しても害のない程度まで減らすことであって、滅菌のような無菌状態にはならない。
●抗菌=菌の増殖を阻止すること。静菌と殺菌を含む。
●静菌=低温保存などの手段により菌を殺さないがその増殖を抑えること。
●除菌=対象物から菌を除いて減らすこと。

【アスレシピ編集部】

※参考:政府広報オンライン(http://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/)

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