アスリートの食事は、毎食「基本の形」に整えることが前提です。「主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物」の6品を整え、試合前や増量・減量などの目的に合わせてアレンジしていきます。

季節の果物にはビタミンやミネラルがいっぱい

この6品の中でおろそかになりがちなのが「果物」。デザート感覚で見られたり、おまけのような存在に思えたりするかもしれませんが、季節の果物には各種ビタミンやミネラル、食物繊維が含まれており、運動の前、運動中、運動後などで必要なエネルギー補給やリフレッシュメントとしても活用できるのです。

リンゴの栄養素と期待できる効果

今回は、手軽に手に入るリンゴの栄養素について見ていきましょう。

リンゴに含まれるリンゴ酸は、体内でエネルギーを作り出すクエン酸回路を活性化させるため、代謝が上がり、素早い疲労回復効果が期待できます。また、鉄やカルシウムを体内に吸収しやすくするキレート作用も持ち合わせます。

リンゴに含まれる食物繊維は、水溶性のペクチンと不溶性のリグニンやセルロースが含まれています。整腸作用があるとともに、腸内の善玉菌であるビフィズス菌の増加を促進し、悪玉菌を減らす働きもします。

リンゴポリフェノールの多くを占めるプロシアニジンや、皮に含まれる赤い色素のアントシアニンは強い抗酸化力があると言われており、そのため、リンゴはよく洗って皮ごと食べるのがおすすめ。そうすれば、βカロテンや葉酸、ビタミンCも多く摂ることができます。

生で食べるだけでなく料理にも使える

ここまで読めば、リンゴの持つパワーが想像以上だと分かるのではないでしょうか。リンゴはそのまま食べてもおいしいですが、料理にも使えます。

写真は「リンゴとバナナのヨーグルトグラタン」。リンゴを皮ごと使用し、整腸作用に相乗効果が期待できるバナナとヨーグルトを合わせました。ただし、おなかの調子が悪い時はリンゴの皮はむき、バターを控えめにしてください。

トッピングしたアーモンドは、食物繊維や鉄・ビタミンE・B2などを含んでいます。ヨーグルトは無脂肪のもの、手に入るなら水切り製法で作られた濃厚でクリーミーなギリシャヨーグルトを使うと、よりタンパク質強化につながります。朝食の一品として、補食として、食欲がない時の栄養補給としても活用してください。

管理栄養士・石村智子