<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

リンゴは中央アジア原産と言われるバラ科の果実です。紀元前1300年頃には栽培が始まり、日本では明治時代から本格的に栽培されるようになりました。現在日本で見られる品種は100種前後のようですが、世界では1万種以上あると言われています。

リンゴの収穫は秋ですが、通年出回ります。CA貯蔵法という、酸素を減らして二酸化炭素を増やし、低温で保存する技術で鮮度を保っています。

表面がベタついていることがありますが、「油あがり」と言い、熟すとリンゴ自体から分泌される物質で、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。人工的に塗ったワックスではありません。

果肉に見られる蜜は、糖の一種ソルビトールが集まったものです。ソルビトールは葉で作られ、果肉で酵素により果糖やショ糖に変換されます。完熟すると変換しなくなり、凝集したものが蜜に見えます。糖度が高い品種は、糖が飽和状態になるため、蜜ができやすくなります。ソルビトールの甘味はショ糖の4~7割くらいなので、蜜だけ食べても甘く感じません。収穫後しばらく保存しておくと果肉に吸収されていきます。

蜜入りリンゴ

果実に日光が当たることで着色し、糖度が増します。一般的に日光を遮る葉を摘み取って着色を促しますが、葉を摘まない「葉とらずリンゴ」もあります。着色はまばらですが、養分を作る葉が多い分甘くなると言います。

ふっくらとして全体に色付き、果皮にハリがあって重みを感じるものを選びましょう。あまり大きすぎないものの方が食味が良く、日持ちすると言われます。軸は太く、干からびていないものが良品です。

熟すとお尻(果頂部)まで赤くなります。お尻が緑のものや、色ムラがあるものは酸味が強い傾向にあります。黄色系のりんごは、全体が濃い黄色の方が酸味はやわらいでいます。

リンゴはエチレンガスを出します。一緒に保存すると、ジャガイモの発芽を抑制する、追熟する果物の熟成を促進するなどの効果があります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
リンゴは炭水化物が多く、糖は吸収されやすい果糖やショ糖が主体です。主要な有機酸はリンゴ酸で、疲労回復効果が期待できます。水溶性食物繊維のペクチン、ポリフェノールのカテキン、ケルセチン、プロシアニジン、アントシアニンなども含まれています。

食物繊維やポリフェノールは果皮や果皮の周辺に多いため、皮をむかずに食べた方が無駄なく摂取できます。

果肉が褐変するのは、ポリフェノールによるものです。褐変すると抗酸化力は弱まります。塩水やレモン水にくぐらせると褐変防止になりますが、ポリフェノールは水溶性のため、流れ出てしまいます。金属は褐変を促進させるので、すりおろすときは金属のおろし金は避けましょう。

期待される健康効果は、風邪予防、整腸作用、美肌効果、ガン予防、生活習慣病予防、疲労回復、抗アレルギーなどです。

保存するなら
リンゴは保存性が高く、冷蔵しなくても1カ月ほど持ちます。1つずつキッチンペーパーなどに包み、新聞紙を敷いた段ボール箱に軸を上にして入れ、冷暗所で保存します。冷蔵する場合は、エチレンガスが他に影響しないよう、ポリ袋などに入れましょう。

コンポートやピューレにして冷凍すると1カ月ほど持ちます。ジッパー付き保存袋などに入れて冷凍します。

ドライにすることもできます。薄く切り、ザルに並べて裏返しながら2日ほど干します。保存袋に入れ、冷蔵庫で2~3週間ほど持ちます。

【管理栄養士・高木小雪】