体水分量が極端に少ないことも判明

また、体脂肪量、筋肉量、体水分量などが出る家庭用体組成計を購入してもらい、体重だけの計測で一喜一憂しないよう伝えました。毎日起床後に計測し、記録してその動きを比較するようにしました(この選手の場合は毎日記録してくれていますが、今はスマホと連動して記録ができるものも比較的安価で購入できるので、記録するのが難しい選手や、グラフなどで日々変化を視覚的に見たいという選手にはこちらを勧めています)。

それにより、体水分量が極端に少ないことも分かり、普段の水分補給の方法も知らなかったことが判明。1日1.5ℓ以上、練習の前後だけでなく、学校生活をしている日中も休み時間を利用してこまめにとることをしっかりと伝え、実践してもらい、月に1回の面談時には業務用体脂肪計を使って部位別の体脂肪量や筋肉量のチェックもして意識を高めました。

筋肉量をキープして体脂肪を落とす

目標は、コーチが求めている体重にすることではありません。筋肉量はキープして体脂肪だけを落とすことを意識するようアドバイス。その上で、自分の体力や疲労度、パフォーマンスの感覚にもしっかりと目を向けることにも取り組んでもらいました。

数カ月の指導で、ずっと落ちなかった体重がパフォーマンスを維持しながら順調に落ち、73キロをキープしながらコンディションを整えることができるようになりました。こうした「自分を見つめる」経験の積み重ねが自己管理能力として、彼の夢であるプロサッカー選手になったときには自然に身に付いていることでしょう。

今回紹介するレシピは、夏に向けて常備菜にピッタリの「たたきキュウリのピリ辛漬け」です。梅雨前後の季節は寒暖の差が激しく、体もまだ暑さに慣れていないこともあり、真夏よりも熱中症にかかりやすいといわれます。食べ物からの水分補給に、キュウリの常備菜は役立ちます。

味をよく染みこませるためのポイントは、漬けだれを熱くしてキュウリを入れること、めん棒でたたいて表面積を広くすることです。見栄えをよくしたい場合は、包丁でカットするといいでしょう。ピリ辛味は食欲を増進させますが、辛いものが苦手な人は調味料を調整してください。

90%以上が水分で「最も熱量が低い果実」

キュウリは90%以上が水分で、100g(およそ1本)あたり14kcalと非常に低カロリー。ギネスブックに「最も熱量が低い果実」として登録されているそうです。

「最も栄養がない野菜」と誤った情報が広がっていますが、むくみを解消してくれるカリウムや、免疫力を高めたり美肌作りに貢献したりするビタミンC、便秘解消に効果が期待できる食物繊維などが含まれます。また水分が多いため、漢方的な考えでは体温を下げるために役立つ野菜とも言われています。

生で食べることが多いキュウリですが、中華風の炒め物として使ってもおいしい野菜です。旬は夏から秋。栄養価が高く、安価で手に入るこの時期には、スライスして冷凍しておくのがおすすめです。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ

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