あぶら(脂質)は三大栄養素であるにも関わらず「とったら太る」「アスリートはできるだけ摂らないほうがいい」と考えている選手が多いように思います。

確かに、1g当たり9kcalと、糖質(炭水化物)やタンパク質(共に1g当たり4kcal)の2倍以上のエネルギーを有していることは間違いありませんが、体の機能を維持していく上で必要な栄養素。アスリートも上手に活用すれば、ケガの予防やコンディションの維持・向上につながります。これを機にあぶらを正しく理解しましょう!

「油」「脂」の違い

サラダ油やキャノーラ油など一般的に私たちが使用しているあぶらは、グリセロールに脂肪酸が3個結合したトリグリセリド(中性脂肪)と言われ、常温で液体のものを「油」、常温で固体のものを「脂」、これらをまとめて「油脂」といいます。

さらに、脂質は「有機溶媒に溶ける物質」と定義され、中性脂肪以外にもリン脂質やコレステロールなども含まれます。

中性脂肪=脂肪組織に蓄えられ、エネルギーになる。
リン脂質=細胞膜などの構成成分になる。
コレステロール=細胞膜の構成成分やステロイドホルモンの原料になる。

脂質の取りすぎは肥満の原因になりやすく、様々な生活習慣病を引き起こしやすくなりますが、逆に不足しすぎても疲れやすくなったり、体調を崩しやすくなったりします。体に良いあぶらを適量とるのが良いでしょう。

体に良いあぶらとは

マグロを食べると、口の中でとろけると感じたことがあるでしょう。マグロの油には融点の低い不飽和脂肪酸が多く含まれているために生じる現象です。水中にすむ魚の体温は水温とほぼ同じなので、水温で脂肪が液体である必要があるのです。

不飽和脂肪酸であるn-3系脂肪酸には、青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)があります。これらは血液をサラサラにし、動脈硬化を予防すると言われています。また、脳の発育にも重要な役割を果たしているため、子どもから大人まで積極的にとりたい油です。

一方、豚や牛など恒温動物の体温は、36~40℃と魚や植物の温度よりずっと高いので、魚油や植物油の方よりも動物脂の方が融点が高くなります。動物脂には飽和脂肪酸が多く含まれており、これの摂りすぎは健康にも影響があるため、注意が必要になります。

今回は、EPAが豊富に含まれる青魚を活用したメニュー「アジのショウガ焼き」を紹介します。フライパンで簡単にできるレシピです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・長島未央子