あぶらには「油」と「脂」がありますが、違いを知っていますか?
一般的には、常温(15~25℃)で液体のものを「油」、固体のものを「脂」と使い分けています。常温で液体である植物油や魚油などには不飽和脂肪酸が多く含まれ、固体である肉の脂などには飽和脂肪酸が多く含まれています。
不飽和脂肪酸には、大豆油など一般の植物油に多く含まれるリノール酸、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸、魚油に多いエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。
それに対し、飽和脂肪酸には、バターに多い酪酸、ヤシ油に多いラウリル酸、肉の脂肪や植物性油脂にも多いパルミチン酸、ステアリン酸などがあります。
飽和脂肪酸は、LDL-コレステロール(悪玉)を上昇させるといわれますが、コレステロールは生体膜やホルモンの材料として必要で、摂取量以上に肝臓で作られる量の方が多いため、制限をしても血中LDL-コレステロールはなかなか下がりません。
「コレステロール0」と表記された油が売られていますが、記載していなくても、植物油にはほとんどコレステロールは含まれておりません。
また、人気のあるココナッツミルクには、エネルギーに変わりやすい中鎖脂肪酸が多く含まれています。中鎖脂肪酸はエネルギーとして使用されなければ、貯蔵脂肪として蓄えられ、太ります。
日本で販売されている油脂は100gあたり700~900kcalとどれも高エネルギーで、エネルギー0の油脂はありません。体に良い油、悪い油脂などたくさんの種類の油脂が売られていますが、いずれにしても摂りすぎには注意しましょう。【管理栄養士・今井久美】