ラグビーワールドカップ(W杯)が9月20日開幕。日本(世界ランキング9位)は1次リーグA組で、アイルランド、スコットランド、ロシア、サモアの4カ国と対戦します。ライバル国の食べ物はどんなもので、選手はどんな食生活を送ってきたのか、各国・郷土料理研究家の青木ゆり子さん(e-food.jp代表)に代表的な郷土料理を紹介してもらいます。

アイルランド:ギネスビールを使った黒シチュー

<アイルランドのラグビー代表>
世界ランキング :3位(2019年8月時点)
出場回数(優勝):9大会連続9度目(0回)

アイルランド島は、地図上ではアイルランド共和国と北アイルランド(イギリス)に国が分かれているが、ラグビーでは1つのチーム。緑のジャージーが特徴。チームを率いるのは、2018年ワールドラグビー年間最優秀選手賞のSOジョナサン・セクストン。同年の欧州6カ国対抗で全勝で2連覇を達成、秋のテストマッチではニュージーランドを破った。W杯の最高成績はベスト8だが、優勝候補の一角に挙がっている。

代表的な郷土料理「ギネスシチュー」

春の草原のようなグリーンがナショナルカラーのアイルランド。そのアイルランド人が誇るのは、2019年に誕生から260年を迎えた黒スタウトのギネスビールで、これをしばしば料理にも使います。ギネスビールには鉄分をはじめとするミネラルが豊富に含まれ、カロリーも普通のビールより低め。適度に飲めば健康に良いと言われているほどなのです。

ギネスシチューはギネスの黒ビールを1缶330ml使うため、見た目も黒い色合い。少し苦味のある味わいが、ビール酵母によって柔らかくなった牛肉にたっぷり染みて、クセになるのです。

スコットランド:柔らかくて赤身多いアンガス牛が自慢

<スコットランドのラグビー代表>
世界ランキング :8位(2019年8月時点)
出場回数(優勝):9大会連続9度目(0回)

1871年にイングランド代表と世界最初のテストマッチを戦った伝統チーム。英国王室のアン王女の支援を受け、アザミのエンブレムを胸に戦う。W杯は1991年大会の4位が最高で、以降は4強の壁にはね返されている。2015年の前回大会は準々決勝で、2位オーストラリアに1点差で敗れた。FWとBKのバランスが良く、日本にはW杯で3戦全勝している。

代表的な郷土料理「アンガス牛のステーキ&チップス」

イギリスを構成する連合王国の1つであるスコットランド。独立運動が起こるほど強い自治権を持っており、ラグビーやサッカーなどの国際競技には独立チームとして出場しています。歴史的経緯からイングランドとは仲が悪いといわれていますが、「牛肉好き」という点ではなぜか意見が一致していて、スコットランド人は、柔らかくて赤身の多い世界ブランド「アンガス牛」(正式名アバディーン・アンガス牛)の原産地であることを誇りに思っています。

アンガス牛の最良の調理法の1つはステーキ。肉に塩、コショウ、植物油をまぶして焼き、ジャガイモのチップスやトマトなどを添えるという素材を生かしたシンプルな料理を好みます。

ロシア:中国の餃子によく似た東西文化融合の味

<ロシアのラグビー代表>
世界ランキング :20位(2019年8月時点)
出場回数(優勝):2大会ぶり2度目(0回)

チームを指揮するのは、元ウェールズ代表フランカーで、豊富な指導経験のあるリン・ジョーンズ監督。前回出場した2011年は勝利を挙げられなかったが、格上チームからトライを奪うなど意地を見せた。今回は欧州予選3位だったものの、上位のルーマニア、スペインに代表無資格の選手を出場させた違反があり、繰り上げで出場が決定、初勝利を狙う。

代表的な郷土料理「ペリメニ」

日本航空と全日空が2020年にウラジオストクに直行便を就航させることが決まり、日本人にとってぐっと身近になりつつあるロシア。アジアとヨーロッパをまたぐ広大な国土には、さまざまな民族による工夫を凝らした多様な郷土料理があり、それがロシア人の力の源にもなっています。

東洋的な食文化を反映したロシア料理の代表格といえば、中国の餃子によく似た「ペリメニ」です。具を詰めた餃子の皮は、ギャザーを作りながら水で縁をとめて、最後に両端をくっつけて丸くなるように包みます。水餃子のようにゆでたものに、サワークリームをかけて食べるなんて、まさに東西の文化が融合した料理です。

サモア:ポリネシアの伝統食材を切って混ぜる

<サモアのラグビー代表>
世界ランキング 16位(2019年8月時点)
出場回数(優勝)8大会連続8度目(0回)

人口約20万人の南太平洋の島国。チームの愛称は「マヌー・サモア」で勇敢な獣たちという意味。試合前には戦いの儀式「シバ・タウ」を演じ、チームの士気を高める。1991年、95年大会ではベスト8に入り、強烈なインパクトを残したが、最近4大会は1次リーグ敗退が続く。前回大会では日本に5-26と完敗しており、リベンジに燃えている。

代表的な郷土料理「オカイア」

南太平洋のポリネシアにある島国。体格が大きく、のんびりとして穏やかなイメージのあるポリネシアの人々ですが、実は筋骨隆々で動きが機敏で、スポーツ選手として成功している人も少なくありません。その立派な身体は、栄養価の高い魚介類やココナッツミルク、主食のイモ類などポリネシアの伝統食品をたっぷりと食べてきたことで育まれたともいえます。

オカイアは、生魚と野菜をココナッツミルクであえたもの。切って混ぜるだけと調理工程はとても簡単ですが、たっぷりなボリュームでいただきます。

参加者募集:W杯出場20カ国の郷土料理イベント

ラグビーワールドカップ(W杯)の開幕を前に、出場全20カ国の郷土料理とワインが一堂に会する料理会(e-food主催)が9月16日、都内で行われます。各国代表のパワーの源を、自慢の郷土料理から探ってみる企画です。

日時 9月16日(月・祝)18:00~20:00
場所 e-food.jpクッキングサロン(麻布十番)
料金 6000円(食事、ワイン代など)

現在、参加者募集中。詳細、申し込みは以下から。
https://www.facebook.com/events/377614276249586/