穏やか…、ではない春の日差し。ではサンスクリーン剤(日焼け止め)は一体どのように選んだらいいのでしょうか。薬局や化粧品売り場ではクリームタイプやミストタイプなど、さまざまなものが並んでいます。加えてSPFやPAといった表示にどれを選んだらいいのかと悩んでしまいます。自分にあったサンスクリーン剤を探すためのヒントをお伝えします。

サンスクリーン剤

日本人の日焼けタイプは3タイプ

紫外線を浴びると真っ赤になったり、真っ黒になったり。実は日本人は生まれながらにして大きく3つのタイプに分類されているのです。

日焼けタイプ

タイプⅠ 肌がすぐに真っ赤になるが、黒くならないタイプ。
タイプⅡ 赤くなってから、肌が黒くなるタイプ。
タイプⅢ 肌が赤くならずに、すぐに黒くなるタイプ。

タイプⅠ は紫外線の影響を受けやすく、サンバーンになりやすい人です。炎症を起こすと熱を持ちがちなので、冷やしたりするケアが重要です。他のタイプと比べると皮膚がんになる可能性も高くなります。

Ⅲ は色素沈着が起こりやすく、日を追うごとに黒くなっていきます。過剰に日焼けをすると、表皮細胞内にメラニンがたまってしまい、しみなどにつながります。

タイプⅡ はⅠ とⅢ の中間にあたり、ケアの仕方も日焼けの具合を見ながら行う必要があります。

まずはⅠ、Ⅱ、Ⅲ のタイプ、どれに自らが当てはまるかを調べましょう。

SPFとPAの違いを知ろう

「数字が高いものがいいんでしょう?」と考えがちですが、そうとも言い切れません。仕組みを理解しましょう。

SPFとPA

SPF
まずSPFですが「Sun Protection Factor」の略です。これはジリジリと表皮を短時間で肌を赤くしたり、黒くするUVB(紫外線B波)を防ぎます。SPFは2から50、50以上の場合は「50+」と表記されます。この数字はサンスクリーン剤を塗った場合、塗らなかった場合に比べて炎症を何倍の時間防止できるかというものです。

例えば肌に何にも塗らずに紫外線を浴びて、5分で皮膚が赤くなる人がいます。その人が「SPF50」のサンスクリーン剤を塗ると「赤くなるまでの5分」×「50倍」で、約250分間ガードする力があるという目安になります。

PA
次にPAですが、これは「Protection Grade of UVA」の略です。柔らかい日差しに油断して、冬場に日焼けを起こしたことはありませんか? PAは波長が長く皮膚の奥底にまで浸透するUVA(紫外線A波)を防ぎます。防御効果の強さは4段階で「+」マークであらわされ、最高値は「++++」になります。

塗り方と塗るタイミング

では春先にはどのようなサンスクリーン剤が必要なのでしょうか。「SPF50+でPA++++なら最強じゃない」と思われますが、使用感の問題もあります。防御効果の高いものは肌に塗った時のベタ付き感が強いものや白残りしやすいものもあります。もちろん肌に対する負担も強くなります。

「光老化」啓発プロジェクト委員会では「SPFは15以上、PAは+以上のものを使う」と推奨しています。

「春はジリジリと照りつける日差しではないからUVBを防ぐSPFは小さくして、PAも++にしよう」など検討し、自分にあった使用感でストレスを感じないサンスクリーン剤を探していくことが重要です。

塗り方と塗るタイミング

塗るタイミングは?
ジュニアアスリートはサンスクリーン剤を使うタイミングが難しいかもしれません。「部活動の練習前は準備が忙しくて時間が取れない!」などの問題も出てきます。そんな時は、先ほど説明したSPFの効果の仕組みを考えましょう。「肌が赤くなるまで10分」ならば、SPF40で400分(約6時間40分)効果が持続します。昼休みの間に塗っておけば、夕方以降まで持つ計算です。どの時間に塗ればいいのか、これも工夫しながら覚えていけば、勝負の真夏にスムーズにサンスクリーン剤を使うことができるでしょう。

実は塗る量が少ない
SPFもPAの仕組みも理解し、自らの肌タイプに合ったケアも実践。それなのになんだか効果が薄いような…と感じる人がいます。実は、サンスクリーン剤を使う人のほとんどが適正量を塗り切れていないのです。簡単に言えば、目安の半分しか使っていません。

一度塗ってから、もう一度塗りこむくらいの量が適正量なのです。しかし、あまり塗りすぎると「ベタつき感」が増してしまいます。普段塗っている量だと、効果が半減しているかもしれないというのを頭の片隅に入れておくといいかもしれません。例えば「肌が赤くなるまで5分」の人が「SPF50」のものを使って適正量に満たなければ、「5分」×「50」÷2で約125分の効果しか得られていないと分かっていれば、こまめに塗り直すきっかけにもなるでしょう。