冬になると鍋が恋しくなります。簡単に調理でき、様々な味付けが可能な鍋は、一年中楽しめますが、「寒い時期」ということを意識すると、どんな具材を選ぶのが良いのでしょうか。いつもの家庭料理に一工夫加えると、栄養素がプラスされたり、おもてなし料理になったりもします。

野菜や昆布だしでカリウム摂取

気温が低い時期は、血管が収縮することで血圧が高くなる時期です。脳卒中が冬の朝方に1番起きやすいのは、朝、寒いところに出たことで、就寝時に下がっていた血圧が一気に上昇することが原因です。

血圧を上げないために、ナトリウム(食塩など)を控え、減塩を意識することはもちろん大切ですが、ナトリウムを排泄してくれるカリウムを摂るためにも、カリウムを多く含む野菜や海藻を鍋に入れると良いでしょう。昆布をだしに使うと、カリウムが水に溶け出すので、つゆだけでもカリウムが摂れます。

魚やキノコでビタミンD摂取

日照時間が短い冬は体内でビタミンDが合成されにくく、血中のビタミンD濃度が夏よりも低下しています。ビタミンDはカルシウムの吸収に必要な栄養素。冬は骨折しやすい時期といえ、食事からのビタミンD必要量が増えます。

ビタミンDが豊富な魚の中でも、冬が旬のブリなどの青魚のほか、カレイ、タラなどを鍋に入れるとビタミンDが摂れます。また、キノコ類もビタミンDが多く、鍋にも合います。

「陽」の食品で体を温める

東洋医学では、体を温める食品を「陽」、冷やすものを「陰」に分けますが、「陽」に分類される食品には魚(鯛、サケ、イワシなど)、赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉)、ニンジン、カボチャ、レンコン、ゴボウ、タマネギ、ジャガイモ、ヤマイモ(自然薯)、梅干し、みそ、黒ゴマなどがあります。

陽の野菜は主に根菜です。鍋には葉物野菜が多くなりますが、根菜を入れることで食物繊維が摂取できます。

レンコンはつみれや肉団子に入れる、ヤマイモや梅干し、黒ゴマはつけ汁に入れると食感や風味が変わった鍋が楽しめます。冷え性の方はこれらの食材を取り入れてみてください。

様々な具材や味付けによって、鍋の味わいは無数に広がります。体を温めるワンポイントを取り入れて、体を温め、冬を健康に乗り切りましょう。

管理栄養士・今井久美