今後は選手というより愛好家として

-Tリーグに一部参加という報道があった

水谷 出るんじゃないですか。そういう報道があったら、出るかもしれないです。

-レギュラー参戦はしないということか

水谷 スポット参戦的な可能性もある。

-Tリーグの登録はされるのか

水谷 はい。登録はされると思います。

-開幕も近づいている。体も開幕に合わせるというわけではないのか

水谷 そうですね。オリンピックに臨むに当たって、数え切れないくらいのサプリメントとか目薬、あり得ない量を摂取してきて、1日1日それで延命してきた感じなので、これからやはりもう1度それをやり直しというのは絶対にできない。皆さんが思っているようなパフォーマンスはできないし、自分の心の中でも、オリンピックと同じような状態で臨むのは不可能だとは思っている。ただ、もし自分が試合に出場するとしたら、その時持っているベストなパフォーマンスをしたい。

-引退会見をするとかではなく、今までの卓球への関わり方とは違うという認識でいいか

水谷 選手というより、愛好者としてプレーしている自分を見てほしい。

-全日本選手権とかに出るイメージはあるか

水谷 目の影響もすごく大きくて、オリンピック限定でしか自分のパフォーマンスは復活できない。また全日本選手権とか大舞台に立つことはないと思っている。

東京五輪卓球混合ダブルス表彰式で伊藤(右)に金メダルをかける水谷(2021年7月26日撮影)
東京五輪卓球混合ダブルス表彰式で伊藤(右)に金メダルをかける水谷(2021年7月26日撮影)

-目の心配がある。五輪ではどうだったか

水谷 良くはない。治療はずっと継続して続けていたが、完治には至らないというか。「ビジュアルスノー」といわれる症状で日本語では「視界砂嵐症候群」といわれる病名。すごくその症状が強くて、特に明るいところ、暗いところだと症状が強く出てしまう。ワールドツアーとか全日本選手権や、あとLEDがある会場はより見るのが難しい。そんな中で、頑張ってやってきた。ちょっと私生活とかでも厳しいところも出てきた。これからストレスを感じながら卓球を続けていくというのは難しい。

-今普通にしていれば問題ないのか

水谷 意識をしなければ大丈夫だが、意識をしてしまうとかなり症状はきつく出る。

-それでもラケットに当てられるということに驚きの声がある。受け止めは

水谷 悲しい気持ちの方が強い。オリンピックもそうだが、全然自分の思っている力を出し切れなかった。この2年半くらいは、本当に、パフォーマンスも悪くて。唯一ちょっと向上できたのがオリンピックの舞台だっただけ。それでも全然自分のいいパフォーマンスはできなかった。ボールが見えなくてミスすることも多くて。映像見直しても、(ラケットの)角とか空振りとかばっかりで、本当につらかった。それでも最後、結果だけ残せたのは良かった。

(2021年8月30日、ニッカンスポーツ・コム掲載)

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