サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会も残すは決勝、3位決定戦のみとなりました。この約1カ月間、日本代表の奮闘もあり、眠れない夜を過ごされた方も多いのではないでしょうか。好きな選手のいるチームや、好きな国を応援するのも楽しいですよね。

 このように盛り上がるスポーツを見ていると、素晴らしい選手がどんな食事をしているのか、気になりませんか? 今回は、今一番熱い競技であるサッカーにフォーカスし、サッカー選手に必要な栄養についてお伝えします。

サッカーW杯ロシア大会1次リーグH組日本対コロンビア 後半、ヘディングで勝ち越しゴールを決めたFW大迫勇也(左から2人目)を祝福する歓喜の日本ベンチ(2018年6月19日)
サッカーW杯ロシア大会1次リーグH組日本対コロンビア 後半、ヘディングで勝ち越しゴールを決めたFW大迫勇也(左から2人目)を祝福する歓喜の日本ベンチ(2018年6月19日)

ポジション別必要な栄養素

 サッカー選手の主な動作は「走る」「蹴る」「ジャンプ」など。これらの動作はどの選手も必要ですが、あえて言うなら、ポジションによって少しずつ必要な能力は違ってきます。それを紹介していきましょう。

フォワード(FW)…何と言ってもシュートを打って得点する能力=瞬発力

 瞬間的に大きな力を出すには、筋肉が必要。この筋肉を作るための主な栄養素はタンパク質です。筋肉を収縮させるには、カルシウムも重要な働きをします。体内ではマグネシウムとカルシウムのバランスが大切で、どちらかが不足すると、筋肉の動きが鈍るだけではなく、足がつるなど、けいれんを起こすこともあります。

<ポイントとなる栄養素(食材)>
 タンパク質(肉、魚、大豆製品)
 カルシウム(乳製品、大豆製品)
 マグネシウム(海藻類、種実類)

白あえ
白あえ

ミッドフィルダー(MF)…ピッチの上を駆け回るオールラウンダー=持久力

 男子の一流プレーヤーになると、試合中の総走行距離は約10~13キロにもなるため、サッカーは持久的スポーツと考えられています。そのうちの600メートル以上は全力疾走、約2.4キロが高強度の走りといわれています。持久的な要素が特に必要なMFの選手にとって、糖質(炭水化物)がとても重要です。糖質の代謝を助け、素早くエネルギーに変える役割を持つビタミンB1も一緒に摂りましょう。

<ポイントとなる栄養素(食材)>
 糖質(ご飯、パン、麺類、イモ類、果物)
 ビタミンB1(豚肉、木綿豆腐、納豆、玄米、ウナギ)

豆腐と納豆のお好み焼き
豆腐と納豆のお好み焼き

ディフェンダー(DF)…当たり負けしないようにカラダを維持=パワー

 激しいぶつかり合いやチャージに耐え、パワーを発揮するには、強靱な筋肉が必要です。強い筋肉はタンパク質で作られます。その一種であるコラーゲンは筋肉、骨、関節を構成する成分です。ビタミンDには体内のカルシウム吸収を促して骨を強くするとともに、筋肉の合成を促す作用があります。

<ポイントとなる栄養素(食材)>
 コラーゲン(鶏肉、豚肉、カレイ、ゼラチン)
 ビタミンD(キノコ類、魚介類、卵など)

鶏肉とキノコの煮込み
鶏肉とキノコの煮込み

ゴールキーパー(GK)…シュートに素早く反応する能力=反応力

 GKに求められることは「ここぞ!」というタイミングに瞬間的に動くこと。シュートに対して瞬時に反応、とっさの動きに対応しなければなりません。常にボールに集中し、神経を研ぎすますことが大切で、集中力を切らさないためには糖質が必要です。そのため、筋肉の神経刺激に対する反応や、神経細胞で情報の伝達に関わる働きがあるカルシウムはしっかり摂りたいところ。また、カラダが大きい方が有利なポジションでもあります。

<ポイントとなる栄養素(食材)>
 糖質(ご飯、パン、麺類、イモ類、果物)
 カルシウム(乳製品、大豆製品)

マンゴーヨーグルト
マンゴーヨーグルト

 とはいえ、どのポジションの選手もまずはバランス良く食べることが大切。この夏も暑さに負けないようにしっかり食べて、体を作りましょう。

管理栄養士・新生暁子