ビタミンB群にはB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、葉酸、ビオチン、B12と8種類あります。今回はビタミンB12の働きについてお伝えします。

ビタミンB12を多く含む食品は主に、動物性の食品です。貝類(アサリ、シジミなど)、牛肉、レバー、サンマなどに多く含まれます。ビタミンB12は、タンパク質や脂質を代謝する際に必要な酵素の補助として使われたり、赤血球がきちんと分化(正常な形に完成させる)できるように働きます。

不足する原因は摂取不足と吸収力低下

不足すると、悪性貧血や巨赤芽球性貧血といった、赤血球が大きすぎてしまうために生じる貧血を引き起こします。赤血球のサイズが大きくて毛細血管に入り込めず、必要な場所に酸素が運べなくなるといったものです。

体感として最もわかりやすい症状は「冷え」。末端の毛細血管に酸素が運ばれず、指先が冷えてしまう状態です。毛細血管は体の様々な場所に存在しているので、冷えでとどまるくらいならまだしも、酸素が全身にうまく運ばれないと、アスリートとしてベストなパフォーマンスを発揮できないということになります。

体内でビタミンB12が不足する原因は、単純に摂取不足のほかに、うまく吸収できていない可能性があります。ビタミンB12は胃酸の助けを経て、吸収しやすい形に変えられるので、胃が健康で胃酸をしっかり出せないと吸収されません。

食事中のスマホやPCは胃腸の動き止める

例えば、食事中も緊張やストレスで交感神経優位の状態が続いたり、スマホやPCなどの視覚から交感神経を優位とする刺激が続いたりすると、胃腸が動きを止めてしまい、胃酸が出なくなります。試合直後は興奮して眠れない、あまりおなかがすかない、というアスリートもいますが、これは交感神経優位の状態です。

胃腸を動かし、胃酸をしっかり出すには、副交感神経が優位になる必要があるので、アスリートはオンとオフのメリハリをきちんとつけ、リラックスすることが大切です。心を落ち着かせて食事がとれる選手は胃腸もしっかり動き、栄養吸収もうまくいくのです。

今回紹介するレシピは「シジミと豆苗のスープ」です。シジミからビタミンB12、豆苗から葉酸とビタミンB群が摂れ、貧血予防に、代謝アップに欠かせない組み合わせです。

シジミからいい具合のだしが出るので、改めてだしを取る必要はありません。沸騰後に豆苗を入れてさっと混ぜたら出来上がり。とても簡単ですのでぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美