気温が上がるにつれて、胃腸の力が弱まると食欲が低下します。そうすると胃に負担のかからない消化の良いもの、糖質を好んで食べてしまいがちになります。

暑い日はそうめんやうどんなどの麺類、アイスやシャーベット、大人ならビールなどのアルコールが摂りたくなりますよね。糖質は、タンパク質と違って胃では消化されないので、胃の負担にはなりませんが、摂りすぎると弊害が出てきます。

糖質が肝臓で代謝されるときに必要なビタミンB1

糖質は、分解されてグルコース(ブドウ糖)の形となり、小腸から吸収されてその後、主に肝臓で代謝されていきます。肝臓のミトコンドリア(細胞小器官)に入ることで大きなエネルギーを生み出しますが、このミトコンドリアに入る時に必要な酵素の働きを助ける補酵素として働くのが、ビタミンB1です。

つまり、糖質が大きなエネルギーを生みだすにはビタミンB1が不可欠で、糖質を多く摂る時は、同時にビタミンB1を摂る必要があるということ。「疲労回復のときは糖質+ビタミンB1」と言われるのは、こういったことからです。

多く含む豚肉や豆類、アリシンで吸収率高める

ビタミンB1は豚肉や豆類などに多く含まれています。ただ、それだけでは体内への吸収率が悪いので、ニンニクやネギ、ニラなどに含まれる「アリシン」という成分を一緒に摂り、くっつけることで吸収率を上げるのがポイントです。暑さで食欲が落ちて糖質に偏りがちな季節は、豚肉などのタンパク質食材を必ずつけ、アリシンを多く含む香味野菜をたっぷり加えることを意識すると良いでしょう。

ビタミンB群はタンパク質源に多く含まれる

ビタミンB群にはビタミンB1のほかB2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンと8種類ありますが、すべて複合的に摂ることが大切です。これらの役割は、エネルギー源となる糖質、タンパク質、脂質の三大栄養素の代謝に必要な補酵素。言い換えると、三大栄養素が役割をきちんと果たすために必要な栄養素であり、どれかが欠けるとうまく代謝されないのです。

そのビタミンB群は全般的にタンパク質の多い食品に含まれているので毎食、肉、魚、大豆製品を食べるよう意識して欲しいところ。タンパク質は主に胃で消化されるので、胃腸を胃もたれや消化不良をおこさない状態にしておくことが大切ですね。

今回紹介するのは、香味野菜と豚肉、豆腐を使った「マーボー青菜」です。ビタミンB1とアリシンを多く含み、ご飯が進むメニューですので夏場にもおすすめです。青菜が苦手な方も、くさみを感じずに食べられます。

管理栄養士・園部裕美