ミカンがおいしい季節です。年末年始はこたつでミカン、なんて人も多かったのではないでしょうか。

ミカンを食べすぎて、手のひらや足の裏が黄色くなったことはありませんか。「柑皮症」という症状ですが、実は栄養素の不足や代謝(消化吸収など)の不足も考えられるのです。

カロテノイドがビタミンAに変換されない

ミカンやニンジンは天然色素カロテノイドを含んでおり、大量に食べると色素も多く取り入れるため、肌の黄みが増すということが分かっています。大きさにもよりますが、MやLサイズで1日に3個程度が適量とされているミカンをそれ以上食べると、手のひらが黄色くなることがあるのです。

本来なら、体内でカロテノイドはビタミンA(レチノール)に変換されて利用されます。その際、小腸の酵素が関与するため、酵素の原料であるタンパク質の不足や消化吸収不良、小腸の炎症(リーキーガットやSIBOなど)がある場合、カロテノイドがビタミンAに変換されないことも予測されます。そのまま色素として残ってしまうというわけです。

粘膜を守るなどビタミンAの働き

ビタミンAは体の中で次のような働きをします。

粘膜を守る
骨や皮膚の作り替えに役立つ
視力のもとになる
肝臓機能の正常化
IgA抗体をつくって感染症を予防する

ビタミンAをとるために、せっかくカロテノイド(βカロテン、リコピンなど)を含む緑黄色野菜や果物を摂取しても、体内で使われる形に変換できないと意味がありません。

亜鉛もないとビタミンAを使えない

もう1つ、カロテノイドをビタミンAに変換させるために大切な栄養素は、ミネラルの亜鉛です。亜鉛はビタミンAと非常に似た作用があり、亜鉛がないとビタミンAを使うことができません。亜鉛は「成長」するときに大量に使われるため、成長期や運動をしている場合、必要量が多くなるので不足しがちです。

ミカンをそれほど大量にとっていなくても肌が黄色くなった人は、もしかするとタンパク質不足や小腸の炎症、亜鉛不足を疑ってみるといいでしょう。「黄色くなるからミカンは食べないほうが良い」ということではなく、このような栄養不足の合図だということを知っておくことが大切です。

さて、今回紹介するレシピは「鶏手羽肉と大根の甘辛煮」です。大根はおなかにやさしい野菜で、今がおいしい季節。鶏の手羽でしっかりタンパク質も補えます。日々の食事のレパートリーに加えてみてください。

管理栄養士・園部裕美