アスリートにとって貧血は、パフォーマンスが落ちることが明らかなため、避けて通りたいものです。特に成長期の女子アスリートは「成長に必要な分+経血+激しい運動で消費する分」と鉄の需要量が増えるため、食事に気をつけていないと貧血になる可能性が高くなります。

貧血の状態になると、体力が落ちた、目覚めが悪い、思うように動けない、疲労がとれにくい、やる気が起きないなどの症状が出てきます。血液検査では、ヘモグロビンだけではわからない「隠れ貧血」の恐れがあることも、こちらのコラム「健診では気づけない隠れ貧血、フェリチン不足」で書きました。

鉄が十分に足りている状態であれば、エネルギーがよりスムーズに作り出され、やる気、メンタルも良好、疲れにくい体になれるなど、良いことずくめです。鉄はエネルギーを作り出す際にどんどん使われていく栄養素ですので、今貧血でなくても、しっかり鉄を補給して予防することが大切です。

ヘモグロビン不足≠鉄不足

しかし、貧血の症状が表れるのは、必ずしも鉄不足だけとは限らないのです。貧血は、ヘモグロビンが不足している状態を指しますが、ヘモグロビン不足は「鉄だけが足りていない」わけではないこともあります。

貧血になったら鉄剤…の前に、チェックしてほしいことが3つあります。(1)から順番にチェックしていきましょう。

(1)エネルギーは足りているか

エネルギーが足りないと、筋肉などの材料である体内のタンパク質が使われて、ヘモグロビンに回る分のタンパク質が足りなくなることがあります(ヘモグロビンは、鉄とタンパク質からできています)。まず、きちんと食べられているか、その食べている量は自分に見合った量であるのかを確認する必要があります。足りていないと思ったら、まず主食である炭水化物の量を増やしましょう。

(2)タンパク質は足りているか

前述の通り、ヘモグロビンの材料になるタンパク質が足りていないと、筋肉が作られない上に、ヘモグロビンも作られないため、貧血につながります。アスリートであれば1日に、体重(kg)あたり1.5gほどのタンパク質は摂取したいところです。

(3)胃酸は出ているか

タンパク質を吸収するために必要なのが、胃酸です。肉を食べると胃もたれする、あまりタンパク質をとれないという人は、まず胃酸の補助となる酸っぱいもの(レモン水、梅など)を補給しながら、1回で食べるタンパク質の量を減らし、回数を増やしてとるようにしてみてください。

次のページ鉄がとれるレバー、臭くならない調理のポイント