食物アレルギー検査には2パターンあることをご存知でしょうか。

一般的な病院で行われる検査は、IgEという抗体を検査し、原因食物を摂取後、数分~数時間以内に発症する即発性の反応を調べます。

もう1つは、原因食物を摂取後、数時間~数日かけて反応を見るもので、その食物を摂ってしばらくたってからも症状が持続する遅発型を調べるもの。そのため、自分ではアレルギーと気付かない場合も多いのです。

いつも何気なく食べているものがアレルギーとして出ることが多く、除去してみて初めて体調が良くなることもあります。食物アレルギーによって出現する症状は、じんましんや胃腸症状だけにとどまりません。例えば、関節炎、むくみ、頭痛、腹部膨満、倦怠感、慢性の背部痛、吸収不良、低血糖、学習障害、繰り返す感染症などがあります。

この食物アレルギー検査(遅発型)をやる上で誤解しないでほしいのが、「その原因物質を除去さえすれば良い」わけではないということ。アレルギー反応が出た食物を除去しても、症状が少し良くなるだけであって、完治には至らないのです。

そもそも、食物アレルギーを調べることで何が分かるのでしょうか。

食物アレルギー検査とは

食べ物が腸に到達すると、腸から必要な栄養素が体内に取り込まれます。反対に、不必要なものは体内に入り込めないようにするバリアがありますが、このバリアが壊れてしまうと、異物が体内に入り込み、アレルギー反応が生じます。このとき、どの食物(種類)が、どのくらい(量)、体内(血中)に入ってくると反応が出るのかを見るのが、食物アレルギー検査です。

つまり、血中に入ってきている食物の種類と量が多いほど、腸のバリアが壊れていることになります。そのため、原因物質を除去すると一時的に症状は落ち着きますが、腸のバリアは壊れているままなので、また違う食物もアレルギー反応を起こす可能性があります。大切なのは、腸のバリアを治すことです。

多くの食物アレルギーがあるということは、本来必要である栄養素も取り込めていない可能性があるということ。まずは腸をケアし、整えるところから始めましょう。ただし、何でもかんでも除去すればいいということではありません。症状が出ているかを確認しながら、食物除去は進めていくべきでしょう。

次回は、腸の整え方についてお話していきます。

今回のレシピは、「モロヘイヤと春雨のスープ」です。食物繊維がたっぷり摂れる胃腸に優しいスープです。お試しください。

管理栄養士・園部裕美