アスリートのカラダ作りやコンディショニングに「食」が重要であることは理解していると思いますが、どんなに栄養的に優れたものでも、どんなにおいしく作られたものでも、残念ながらその1食ではカラダは変わりません。100点満点の食事ではなくても、日々の食事を「基本の食事の形」に整えるよう継続することが大切です。

1食ではカラダは変わらない

栄養士らが常にアスリートの食事をサポートできればベストですが、多くの場合、選手自身または選手をサポートするご家族が「食」を整えていくことになります。減量や増量など選手それぞれのカラダ作りのため、そして試合や大会の当日に体調がピークになるよう継続してサポートしていくことは、根気のいることです。まして、全ての人が料理好きとは限りませんし、仕事を持つ方の場合は、時間の制約もありますよね。

あるサポート選手と奥様の例

ある選手のサポートをする奥様は、最初にお会いした時には「料理はあまり好きではない」と仰っていました。ミーティングの際に「せっかく朝食を作ってから出かけたのに、ギリギリまで(選手が)寝ていて、食べて行かなかったから捨てました」などの話を聞くこともありました。食事の写真を送っていただいても、最初の頃は全体的に色が茶系で、使っている食材の数も決して多いとは言えませんでした。

ところが今は、まず食事の彩りが変わりました。野菜の種類や量が増えたということです。そしてメニューが多彩になり、使用する調味料にもこだわるようになりました。何よりも選手の体調に合わせて消化の良い食材を選んだり、疲れている時には「おうちでキャンプ飯」にするなど楽しさを取り入れたりし、心身のサポートをしています。

継続すれば必ず結果はついてくる

その選手はとても真面目で、体重や体脂肪率等の体組成の記録も欠かすことがありません。食事とトレーニングの両立により、確実に正しく減量を進めています。選手自身と奥様のご家族ならではのサポートで、第一目標である3月の大会で良い結果が出るよう応援しています。

それぞれの選手、それぞれのご家庭で食生活の環境は様々だと思いますが、継続することで、必ず何らかの結果はついてくるので皆さん、頑張ってください。

写真は「ジャガイモの焼きカレー」です。減量中の選手から「カレーを食べたいけれど高カロリーだから我慢している」とよく聞きます。今回は、ご飯をジャガイモに置き換え、赤身肉とたっぷりの野菜を使用しました。

ジャガイモの食感は満足感につながり、カロリーも抑えられます。ビタミンCも多く含まれています。

脂質を減らす工夫をこらす

赤身肉はタンパク質や鉄を多く含んでいます。店頭で、もも肉などの赤身をひいてもらったり、自宅でフードプロセッサーなどを使ってひいたりすると脂身を減らせます。輸入牛肉の方が赤身の部分が多く、脂肪が少ないので選ぶ時の参考にしてください。

より脂質ダウンを意識するなら、テフロン加工の深めのフライパンを使用してください。カレー粉がない場合は、カレールウの使用量を控えめにするか、カロリーオフの製品も選ぶなど、工夫してみてください。

管理栄養士・石村智子