「脂質はNG」「太るからダメ」などとメディアなどで敵のように扱われているのを目にすることがありますが、本当にいらないのでしょうか?

 アスリートは「バランスの良い食事の基本の形」を整えていくと良いということを以前、お話ししましたが、「バランスの良い食事」とは言い換えれば、五大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル)を過不足なく摂れる食事のことです。

 栄養素は、1つだけではカラダの中で効率的に働いてくれません。健康なカラダ作り、もっと言えば、命を継続するために五大栄養素全てが必要なのです。

必要分を摂ることが大切

 では、脂質はどんな働きをするのでしょうか?

 効率の良いエネルギー源となり、細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料にもなります。

 少ない量で多くのエネルギーを得られ、グリコーゲンとは異なり、いくらでも体脂肪として蓄えることができます。しかし、摂り過ぎて使われなかった分は、際限なく体脂肪として蓄えられてしまうので、この点はアスリートにとって(一般の人にとっても)、好ましいことではありません。

 脂質は必要な分を摂ることが大切です。現代の日本人の食生活を考えると、摂り過ぎないように注意し、油脂の種類を選択することが脂質摂取のポイントとなります。

調理法や部位を工夫して

 油脂にはオリーブ油、大豆油、ゴマ油、紅花油、菜種油などの植物性油脂とラード、ヘッド、バター、生クリームなどの動物性油脂があります。またEPAやDHAは魚の油に多く含まれています。

 植物性油脂は、揚げ物などに多く含まれているイメージやドレッシングなどを食べる時にかけるなど摂っている感覚がつかみやすいのですが、動物性油脂は摂っていないつもりでも、食材そのものから、または料理に使用されているものから摂っていることが多々あります。肉類は部位を選んだり、バターや生クリームを多く使うメニューの頻度を少なくしたり、使用量を控えたりするようにしましょう。

 選手から「肉はタンパク質だから、いくら食べてもいいのか?」と質問されることもあります。肉類はタンパク質を多く含みますが、部位によっては脂質もかなり多く含むので動物性油脂の取り過ぎにつながります。主菜の材料として、EPAやDHA(「お弁当におすすめの魚のおかず」)を多く含む魚類も使用し、肉類に偏らないようにしましょう。骨を取るのが面倒などの理由で魚類を苦手とする選手には、切り身を使用すると良いでしょう。

 写真は「メカジキとパプリカのココナッツミルクカレー」です。食べやすい切り身の魚を使用し、植物性油脂、ミネラル、ビタミンB群を含むココナッツミルク仕立てのカレーです。

 ココナッツミルクに含まれているラウリン酸という植物性油脂は中鎖脂肪酸で、バターやラードなどの長鎖脂肪酸と比較して早く消化、吸収、分解、脂肪燃焼されると言われています。

【管理栄養士・石村智子】