ポイント1 エネルギー源となる主食をしっかり摂る

 前回のコラムでは、「持久力アップのための食事のポイント」をお伝えしました。特に試合前は、最後までパフォーマンスを落とさず戦うために、しっかりエネルギー補給をしておくことが大切です。

 そのためには、バランスの良い基本の形「主食+主菜+副菜+乳製品+果物」を崩さず、ご飯などの主食の割合を増やします。エネルギー比率の6割くらいを炭水化物にすると良いでしょう。

ポイント2 消化の良い食べ慣れたものを選ぶ

 胃腸に負担をかけないよう、消化の良い食べ慣れたものを選びます。例えば、玄米が良いと聞いて、いきなり玄米に替え、お腹が張ってしまっていつもの実力が出せなかったという選手もいます。消化能力は個人差があるので、初めてのものは試合の前日や当日に食べないことが賢明です。また、揚げ物などの油っぽい料理も避けましょう。消化に時間がかかるので、試合前日の夕食くらいから油脂の多いものを控えめにします。

ポイント3 食中毒予防対策をする

 刺身や生肉、カキなど食中毒のリスクが高いものを避けます。特にこれからの6~9月は食中毒の多い季節です。食品の選択も重要ですが、選手や食事を作る人も手洗いを徹底し、衛生管理に十分に気をつけます。

 では、「ポイント1」について少し細かく見ていきましょう。主食としてはご飯がおすすすめですが、ご飯だとたくさん食べられない選手もいます。そんな時には、以下のような工夫をすると良いでしょう。

  • うどんなどの麺類、スパゲティなどのパスタ、パンや餅など炭水化物を多く含む食品を主食にする。
  • 副菜にカボチャや芋類など炭水化物を多く含む野菜を使用する。
  • 果物に炭水化物の多いバナナを選ぶ

 そして、炭水化物などの糖質をエネルギーに変える働きをするビタミンB1の摂取も意識します。ビタミンB1は豚肉、サケ、大豆加工品などに多く含まれています。

ニラ玉肉力うどん
ニラ玉肉力うどん

 写真はエネルギー源となる糖質としてうどんと餅、ビタミンB1を多く含む豚肉、ビタミンB1の吸収率をアップさせるアリシンを含むニラを使用したメニュー 「ニラ玉肉力うどん」です。

 うどんや餅は消化が良く、餅は密度が高いので2個で通常のお茶碗1膳分くらいのカロリーがあります。うどんに餅をプラスして、炭水化物の量を確保します。

 また、豚肉、卵は良質なタンパク質で、特に豚肉は肉類の中で最も豊富にビタミンB1を含んでいます。部位は脂の少ないところを選びましょう。そして、さらにアリシンを含む食材をプラスして、効果的なエネルギー補給を目指します。

 胃腸を冷やさないために、気温が高くなってきても、試合前日の夜は温かいメニューの方がオススメです。試合前日は食事でエネルギー補給をし、睡眠を十分にとって体調を整えましょう。