「身長を伸ばす!食事」というテーマで6月、7月、8月とアスレシピでオンラインセミナーを行いました(注)。

私自身、長くバレーボールの世界におり、身長を高くすることに関心が強かったため、数年前、自分が企画する最初のセミナーが「背を伸ばす」というセミナーでした。この4年あまり、新たな情報を加えながら継続しています。

必ず質問される「プロテインの必要性」

身長を伸ばすためにどんな食事が必要か、といったことをお話ししていると、必ず質問されるのは「プロテインの必要性」について。これは粉末で市販されているプロテインのことです。そこで、「なぜ、そんな質問をするのか」と聞いてみると、多くの答えが「SNSの口コミ」「子どもの友達が使っていて子どもにせがまれた」「知り合いからのおすすめ」です。

私がSNSでジュニアの保護者向けにスポーツ栄養の発信を始めたのも、実はこのクチコミが「危険だな」と感じたことがきっかけです。ラグビーファンの集まるサイトに書かれたクチコミで、小中学生の子を持つ保護者のコメントの中に、特定のプロテインや成長のためのサプリメントと称するものを盛んに勧めているものがあり、それに好意的に反応している人が何人もいたのを見て正直、驚いたからです。

焦らないで、成長スパートは個人差がある

成長期は身長が伸びるため、タンパク質必要量がより増えるとはいえ、小中学生なら食事でまかなうことは十分に可能です。また、頭に入れておきたいのは、子どもの身長のスパート期がいつ来るかは、個人差が大きいということ。とりわけ男子は小学校に来る子、高校生になってから来る子と、その時期と期間の幅がかなり違うのです。

成長スパートの時期が周囲よりも遅いと「栄養が足りていないのか」と不安になり、そういった商品に手を伸ばしたくなる気持ちは分かります。しかし、そこで必要なのは「情報を鵜呑みにしない冷静さ」。そもそもどこが、だれが発信している情報なのか確認し、「我が子にとってはどうか?」と一歩引いて考えることが大切です。

サプリメントの過剰摂取で逆効果も

サプリメントやプロテインを使うと、簡単に特定の栄養素がとれるため、過剰摂取につながり、逆に体に負担をかけることになりかねません。高校生くらいまでは、食べられる食物の幅を広げ、いつも楽しく食べられるようにすることの方が大事です。それによって、その後の環境の変化(例えば寮に入る、遠征に出る)にも一番ストレスなく、対応力がつくと思います。

今回は、今が旬の秋ナスとマイタケを使った「ナスとマイタケと牛肉の炒め物」です。「ナスは油と相性がいい」というものの、フライパンで最初から炒めるとどんどん油を吸っていくのが気になるところです。

脂質を抑えるため、下準備でナスとマイタケにゴマ油をかけて電子レンジで加熱しておき、後からフライパンの肉に合わせるようにしました。肉は、タンパク質と鉄がとれる牛肉を使いました。

ナスの紫の皮には「ナスニン」が含まれ、強力な抗酸化作用があります。マイタケにもβグルカンという食物繊維があり、免疫力を高める働きがあります。ビタミンB群も多くエネルギー代謝を促します。

8月から続く猛暑と、急に温度が下がる日々の繰り返しで調子が今ひとつの人も、食事でコンディションを整えていきましょう。

管理栄養士・月野和美砂

注:身長を伸ばす!食事セミナー
成長スパートを逃さないためにやるべきポイントを解説、「身長を伸ばす!食事・女子編」
タンパク質は食事から!バランス整え過不足なく栄養を摂る、「身長を伸ばす!食事・男子編」
バレーボール選手のための身長を伸ばす食事講座を開催 指導者目線からのアドバイスも