私が指導するバレーボールの女子中学生のクラブチームは、例年なら5月の連休中に合宿を行います。昨年はできなかったので今年こそはと、経営する八ヶ岳の合宿所の通水もしていたのですが、新型コロナ新規感染者の増加もあり、残念ながら中止としました。

子どもたちの自立を促すために、合宿は大変重要な機会です(※)。親元を離れて数日間過ごすだけでも、何気なく送ってきた生活が意外に大変なことだと気付くことができるからです。

課題は「自分で作る『朝食作り』」

そこで、合宿を中止にした代わりに「おうち合宿」を行いました。通常練習以外にオンラインミーティングと、「自分で作る『朝食作り』」という課題を出し、実践してもらったのです。

4月に朝食についてのミーティングをしていたので、今回はその実践編という位置付けです。すでに、子どもたちは頭では朝食の役割や重要性、どんな朝食が必要かは理解しています。しかし、理解することと実践できるかは全く違います。実際に「親の手を借りずに調理する・用意する」とどんなことを感じるか、その“気付き”に期待しました。

おそらく保護者が口や手を出したくなったり、子どもが助けを求めたりすることもあったと思いますが、大方、趣旨にそって実践してもらえたのではないかと、子どもたちが書いたコメントから感じました。

気付きがいっぱい子どもたちの感想

・1食作るだけでも結構考えて計画を立てたことを思うと、毎日3食作ってくれる母をあらためて尊敬
・朝は時間がないので、短時間で栄養バランスがとれるように
・洗い物を減らすことがもう少しできたかな
・朝食をしっかりとると、日中シャキッとした生活が送れた ・納豆と卵を混ぜても結構あっている
・サケは焼いているときにひっくり返しすぎると身がボロボロになってしまう

このように自分で朝食を作ってみたことで、その経験から得る気付きがたくさんあったようです。

当たり前でなくなった今、できる経験を

これまでなら当たり前だったことができない状況下でも、子どもの成長が止まるわけではありません。以前と同じことが無理でも、可能なことを可能な方法で実践していけば、子どもたちはそれぞれの経験から学んでくれると感じています。

今回紹介するレシピは「じゃこ天とキャベツのカレー炒め」です。じゃこ天は愛媛県宇和島の特産品ですが、最近はスーパーなどでも見かけるようになりました。

褐色が特徴のじゃこ天は、原料のホタルジャコなどを皮や骨ごとすり身にし、素揚げにしたもの。タンパク質やカルシウムが豊富で、脂質にはEPAやDHAが多く含まれ、成長期のアスリートにはぴったりの食品です。

今回はカレー粉で風味付けをしています。焼いてそのままネギと合わせるなど、このほかにも色々な食べ方ができるので、子どもと一緒に考えてみてもいいですね。

今回の「おうち合宿」の課題では、サケを主菜にする子どもが多くいましたが、朝から魚を焼くのは時間もかかって大変です。じゃこ天ならそのまま食べられますし、少し火を通すと香ばしくなり、さらにおいしくなります。また、魚が苦手でも食べられるのでは…という提案を、子どもたちにしようかと思っています。

管理栄養士・月野和美砂

※参考: