主婦歴は20年と長いものの、いまだ女子力マイナスという「おばママ記者」が、築地場外を散策する企画「築地さんぽ」。第1回は、昭和6年に創業、85年目の歴史を持つ鮮魚店「三宅商店」です。

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<鮮魚:三宅商店(上)>

 築地場外の表通り「もんせき通り」を1本入ると、軒先に新鮮な魚介類がずらっと並ぶ三宅商店が目に入ります。扱う品数は冷凍含め、常時200種類と築地の中でもトップレベル。銀座、新橋、新富町などの小料理店といった「プロ」だけでなく、一般客が全体の7割近くにも増えているという人気ぶり。最近ではネット販売も手がけ、日本各地に発送しています。

三宅商店の三代目、三宅正人社長
三宅商店の三代目、三宅正人社長

 店を仕切るのは三代目の三宅正人社長(47)で、モットーは「いいものをより安く」。ずらっと並ぶ魚を見ても、何を買えばいいか分からないときは、オススメをアドバイスしてくれます。取材中、100円単位で値札が安く変わっていきましたが、これも店頭ならではの醍醐味です。

子供も食べやすいサワラのフライ

 三宅社長に春に旬を迎える魚を訪ねると、「魚ヘンに春と書くサワラ(鰆)は、まさに旬」。なるほど、漢字まで覚えられました。

 最近では「食べづらい」という理由で、食卓に魚料理を出さない家庭や、魚を食べない子供が増えていると聞きます。わが家では焼くか煮るかのワンパターンで、購入する魚もマンネリです。

比べると血合いの色の違いが分かります。上の3枚の方がきれいでおいしそうです
比べると血合いの色の違いが分かります。上の3枚の方がきれいでおいしそうです

 体長60センチを超える大型魚のサワラは切り身で売られ、西京漬けや幽庵焼きにされることがしばしばですが、三宅社長は「サワラは骨が少ない魚で食べやすい。うちではフライにして、子供たちも喜んで食べている」と中学、小学の2人のお子さんが好む調理法を教えてくれました。ここに並ぶ切り身は、スーパーで売っているものの2倍近く厚みがあり、食べ応えがありそうです。

血合いの色を見るのがポイント

 一般の主婦が、切り身魚を選ぶ際の見極め方を聞くと「身が割れていないもの、身の色が白く、血合いの色が鮮やかなものを選んだ方がいい」(三宅社長)とのこと。確かに、比べてみると違いが分かります。黒ずんでいるものより、きれいな色の方が断然おいしそうです。

 魚は日持ちしないので、まとめ買いしづらいというイメージがありますが、「生身だと2~3日が限度でも、西京漬けや塩麹などで漬けると、冷蔵庫で1週間~10日、冷凍で1カ月はもつらしいよ。うちはすぐに食べちゃうから試したことがないけど」と三宅社長のマル秘保存方法も教えてくれました。もちろん、早く食べるに越したことはありませんが、忙しい主婦にとってはうれしい情報。試してみましょう。

サワラのカレー揚げ
サワラのカレー揚げ

 今回は、サワラのレシピとして、社長宅でよく作るというサワラのフライをアレンジした「サワラのカレー揚げ」を紹介します。

◆その他のサワラのレシピ

管理栄養士・今井久美のコメント

 サワラは身が軟らかく、くせのない魚のため、さまざまな料理に適しています。うまみ成分のイノシン酸が多く、刺し身、照り焼き、塩焼き、西京漬け、蒸し物などの食べ方ができ、子どもからお年寄りまで食べやすい魚です。良質なタンパク質を多く含み、アミノ酸の中のヒスチジン、タウリン、カルニチンなどが多く含まれ、成長期や筋肉増強時には、積極的に食べていただきたいと思います。

 また鉄分や、赤血球の合成を助けるビタミンB12を多く含むので貧血予防に、カルシウムの吸収を促進するビタミンDの含有量も多いので骨の成長、骨折予防にも効果があります。EPAやDHAが非常に多いのも特徴で、特にDHAはサンマより多く含まれています。DHAは動脈硬化の予防だけでなく、抗炎症作用があり、アレルギーの改善効果もあります。

鰆(サワラ)

 サワラは大きさによって呼び名が変わる「出世魚」として知られている。体長40~50センチはサゴシ、50~60センチはナギ、60センチ以上はサワラとなる。サゴシは「サゴチ」とも言われたり、地方によっては呼び方が違うこともある。

三宅商店

住所:東京都中央区築地4丁目8-5
電話:03-3541-2985
営業時間:5:00~15:00
休業日:日曜、祝日、市場休市日