前回のコラムでは、「試合当日の食事」についてお話ししました。今回は「試合後の食事のポイント」をお伝えします。

試合後は、精神的には試合が終わった開放感があるかもしれませんが、力を出し切り、疲労困憊の状態が続くと、体力的には疲労が溜まり、翌日以降に悪影響が出てしまう可能性があります。特に、翌日にも試合がある場合は、エネルギーの補給や疲労回復(リカバリー)を早急にする必要があります。

早急なリカバリーで次戦の準備

次に向けた準備、リカバリーにはタイミングが大切です。

試合直後(試合後30~1時間)

(1)エネルギー源となる糖質の摂取

試合終了後30分以内に重要なのは、エネルギー源である糖質を補給し、エネルギー切れを長引かせないことです。トレーニングと回復のための糖質量は、1時間の運動で体重あたり1g~1.2gが必要とされています。

例:体重55kgの選手が1時間運動したなら55g~66gの糖質が必要。目安としては、おにぎりなら少し大きめの150g~160g程度、カステラなら2切れ100g程度、一般的なエネルギーゼリーなら1個半程度(※1参照)。

(2)壊れた筋肉の修復にタンパク質の摂取

試合後は筋肉もたくさん壊れています。この壊れた筋肉の修復と、これ以上壊れるのを防ぐため、筋肉の材料であるタンパク質をとりましょう。また、タンパク質と糖質を同時に摂取すると、グリコーゲン(糖質)の回復が促進され、リカバリーがアップします。

試合後はすぐに食事がとれないことも多いので、手軽にとれる補食を用意しておきましょう。まずは体内吸収の早いゼリー、果汁100%オレンジジュース、スポーツドリンク、おにぎりやパン、カステラなどで糖質を摂取。同時にタンパク質がとれる組み合わせとして、卵サンドとオレンジジュース、サケ鮭おにぎりとバナナジュース、カステラとサラダチキンなどにすると良いでしょう。

今回紹介する「試合後のリカバリーに!チキンピラフおにぎり」も補食に適しています。少し大きめに入れた鶏肉が食欲をアップさせ、ネギ、ピーマン、コーンなど野菜もとれます。市販の焼肉のたれやケチャップ、ソースで味付けしています。

試合後2~4時間以内の食事

試合直後に「糖質+タンパク質」を補給した後も、できるだけ早いタイミングでの食事が必要です。

翌日、試合がない場合は「アスリートの基本の食事」を整えましょう。試合当日は糖質中心の食事になっているため、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどが十分とれていないことも多くなります。ご飯や麺類などの主食はもちろん、タンパク質源である肉や魚などの主菜、ビタミン・ミネラルを豊富に含む野菜・海藻・キノコ類などを使った副菜と、果物、乳製品の揃うメニューを心掛けましょう。

翌日も試合の場合は、「試合前の食事」を続けることになります。糖質を多めに摂取し、脂質の多いものや生もの、大量の食物繊維は控え、しっかりエネルギーを回復させましょう。ただし、肉や魚、野菜などを控えるということはありませんので、主食に偏り過ぎず、主菜、副菜も食べましょう。

試合時間によっては、食事時間が不規則になりますし、1度の食事でたくさんの量をとることはできません。補食を上手に利用しながら翌日につながるリカバリーをしていきましょう。

※1 Thomas, D. T., Erdman, K.A.& Burke,L.M. Nutrition and athletic performance. Med. Sci. Sports Exerc. 162, 543-568 (2016)

管理栄養士・舘川美貴子