5月に入り、春の大会や夏のインターハイに向けた試合が始まった高校生アスリートも多いのではないかと思います。最後の試合になる3年生もいるでしょう。この2年間は大会の中止、延期が多く、良いコンディションで戦うことが難しい状態でした。今シーズンもまだ、どのように大会や試合が進められるか不安は残りますが、戦いの準備はしっかりとしておきましょう。

試合でパフォーマンスを十分発揮するには、コンディションの管理が重要になります。ここで改めて、「試合前日の食事」をおさらいしておきましょう。

試合前日の食事のバランス

試合前日の食事のポイントは、エネルギー源となるグリコーゲンを筋肉と肝臓に十分に貯えておくことです。エネルギー源の素となる糖質を多くとり、消化の悪い食べ物や脂質は控えるようにしましょう。

献立として考えた場合、糖質源となる主食や果物を多めにし、その分、肉や魚などのおかず(主菜)は少し量を落としましょう。全く食べないということではありません。体の材料となるタンパク質源は必要ですが、全体のエネルギーバランスとして糖質を多めに考えます。

試合前日の食事で控えたいもの

控えたいものとしては脂質の多いものや生もの、食物繊維の多いものが挙げられます。

脂質の多いもの
消化が悪いため(天ぷらやカツなどの揚げ物、カルボナーラ、グラタンなど生クリーム、バター、マヨネーズをたっぷり使った料理など)

生もの、加熱不十分な肉料理や魚料理
食中毒の原因になりやすいため(刺身、寿司など)

食物繊維の多いもの
たくさん食べると、腸内にガスが溜まりやすくなるため(ゴボウ、海藻、キノコ類など)

これらを意識して、普段から食べ慣れている食事をとることが大切です。夕食の時間は、就寝3時間前ぐらいまでに済ませるようにして、リラックスして深く十分な睡眠をとるよう心がけましょう。

とはいえ、公式戦や大きな試合の前に、初めて「試合前日の食事」に取り組むのは危険です。練習試合などで試し、本番に向けて食事も準備していきましょう。

今回は試合前日の夕食の主菜におすすめする「厚揚げと鶏もも肉の和風ポトフ」を紹介します。ジャガイモを使っているので糖質もしっかりとれ、野菜を煮込むので消化も良いメニューです。この季節の新ジャガを使ったポトフは、ホクホクとしてとてもおいしいです。

じっくり煮込んだポトフは食べやすく、お腹にしみわたります。脂質が気になる場合は、厚揚げを木綿豆腐や焼き豆腐に変更してもよいでしょう。

管理栄養士・舘川美貴子