風邪予防を気にかける時期になってきました。「風邪予防」と聞くと、抗酸化作用のある「ビタミンACE(エース)が大切」と聞いたことがある方も多いと思います。

中でもビタミンCは水溶性のため、「多く摂っても問題ない、摂ればとるほど効果が上がる」と思っている方もいるかもしれませんが、実はビタミンCにも1日の摂取上限量があります。日本人の食事摂取基準2020にも「通常の食品から摂取することを基本とし、通常の食品以外の食品(いわゆるサプリメント類)から1g/日以上の量を摂取することは推奨できない」と記載があります。

運動適応や筋肉適応を阻害することも

前回のコラムでも、1日1000㎎(1g)以上のビタミンCの摂取は運動適応や筋肉適応を阻害する恐れがあるので、避けた方がよいとお伝えしました。せっかく良いと思って摂っていても、摂りすぎることで逆効果になることもあるのです。

多くとっても吸収率が下がり排泄量増える

それでは、どのくらい摂るのが効果的なのでしょうか。ビタミンCの吸収率は 1日に200mg程度までは90%と高いものの、1000mg以上摂ると、50%以下になってしまい、代謝されなかったビタミンCは尿中に排泄されます。

また、ビタミンCを1日に200㎎程度摂ったとしても、血漿(けっしょう)のビタミンC濃度は横ばいになります。これは、ビタミンCを過剰摂取しても、消化管からの吸収率が低下し、排泄量が増加して体内の量を調整しているということ。つまり、摂りすぎると、それだけ排出のために、腎臓に負担がかかってしまうということです。

1日の推奨量を野菜や果物から

1日の推奨量は15歳以上の男女とも1日100㎎。だいたいミカン3個でクリアしてしまう量です。サプリメントなどで摂取する場合も、1000㎎を超える過剰摂取にならないように、まずは野菜や果物などの食べ物から安定して摂ることを心がけましょう。

今回は「ロールキャベツのトマト煮」を紹介します。煮込み料理は、ビタミン類を煮汁と一緒に取ることができるのでおすすめです。寒い時期は、温かい料理で体も心もあったまります。

参考文献:日本人の食事摂取基準2020

管理栄養士・田澤梓