【Q】部活後の補食としておにぎりを持たせたいと思っていますが、夏の暑い盛りでは腐ってしまうのではないかと心配です。朝作って夕方までもつおにぎりの作り方を教えてください。

……

お母さんよりコンビニの方がおいしい(泣)

 子どもが中学生の頃、同級生のお母さんに「お母さんの作るおにぎりより、コンビニの方がおいしいから、作らないで!」と息子に言われ、ショックを受けている、と相談されたことがあります。

 もちろん、コンビニ業界の企業努力は素晴らしいものですが、母親としては、企業努力より愛情よ! と思いたいし、子どもには「お母さんの方がおいしい」と言って欲しいのが偽らざる心の内というものですよね。

 確かにコンビニに負けるのは悔しいけれど、その言葉を受け止めて、なぜなのかを少し考えてみませんか。私は実際、その息子さんに本音を聞いてみました。

<コンビニおにぎりを食べ、母の手作りよりおいしいと言った息子さんの感想>

コンビニおにぎりは…

  • 巻いてある海苔は「しっとり」。でも「じっとり」ではない
  • ご飯粒がつぶれていない
  • しっかり味がある

お母さんのおにぎりは…

  • 海苔が何となく溶けた感じになっている
  • ご飯がつぶれて一体化し、固い
  • 味が薄い、またはまばら

 そう、お母さんの弱点を完全にカバーしたものが、コンビニおにぎりだったのです。でも、息子さんによれば、コンビニおにぎりは、派手な具材があって楽しいけれど、味がくどくてちょっと飽きるのも事実だとか。冷やして売られているので、少し固いし、本当は家から持って出られるおにぎりがおいしかったら言うことないのに、との話でした。

 ここはお母さんのがんばりどころです。簡単だから誰に習うこともなく作っているおにぎり。本当においしく作る方法をおさらいしてみましょう。

おにぎりの作り方
(1)炊きたてもしくは、レンジで再加熱した熱々のご飯を用意します。濡らした手に、粗塩を適量広げ、ある程度熱いご飯を、のせます。

(2)ご飯の熱で塩が溶け、手には高濃度塩水の膜ができています。これでふんわりご飯を形作ります。

(3)(2)を皿などに置き、冷まします。すぐにラップや海苔を巻くと、おにぎりの蒸気で蒸れてしまい、表面がべとついたり、海苔が溶けたりするので注意です。

 こうして作ったおにぎりは、表面の塩気がしっかりし、中のご飯の甘みが際だち、なんと言ってもご飯本来の味を楽しむことができる仕上がりになります。

 とは言え、上記のおにぎりは、秋冬春の3シーズン仕様です。気温、湿度の高いこれからの時期、子どもに持たせるおにぎりは、やっぱり腐敗が心配ですね。では、実際我が家で作っていた夏仕様のおにぎりをご紹介します。

夏場のおにぎりの作り方
(1)腐敗しにくい様に、ご飯を炊く際に1合に対して小さじ1の酢を入れて炊きます(おにぎりにした際に酢のにおいは気になりません)。

(2)炊きあがりをほぐし、正方形に切ったラップの上にご飯を広げ、塩を振りかけまんべんなく混ぜ、塩味をつけ、その後、粗熱が取れるようにラップにご飯を広げます。

(3)(2)をおにぎりにし(好みで具を入れてください)、ラップをはずし、皿などに取り出して、冷まします(手で持って熱くない程度まで)。

(4)(3)を海苔で巻き、お弁当箱に入れます。又は、新たなラップで包みます(おにぎりを握ったラップは、水分がついているので、海苔がべちゃっとなる原因になります)

ラップや密閉式の弁当箱に詰める時は、しっかり冷ましてから

腐敗の原因は温度、湿度、栄養の3要素

 腐敗の原因は、温度、湿度、栄養。この3要素で菌は繁殖します。栄養分はご飯そのものなので取り除くことは不可能ですが、滅菌が期待できる熱々のご飯を使用し、殺菌作用のある酢の力、塩の力を借りて、繁殖を抑え、尚かつ、表面の余分な水分をできるだけ飛ばしつつ、菌が繁殖しにくい30度以下まで温度を下げることは可能です。

 ついつい忙しいからと、ラップに塩をぱらりとかけてジャーに残ったご飯を広げ、適当なおかずの残りを真ん中に入れてギュッとおにぎりに握り、ラップを取って海苔を巻き、最後におにぎりを作ったラップを再度巻き直してできあがり…。これでは実は、おいしさの要素をはずし、腐敗の要素をふんだんに取り入れたおにぎりだったということを、改めてご理解いただければうれしいです。

 夏向きに作ったおにぎりでも、もちろん時間経過により腐敗は進行します。お昼ご飯用としては問題ないでしょうが、夕方食べるおやつ分をお考えならば、おにぎりより保存性の高い、バナナ、おせんべい、クッキーなどを持たせた方が真夏は得策です。

 ちなみに、状況が許すようであれば、これらのおやつと牛乳を一緒に摂れると、タンパク質+糖質の効果で、体力回復、筋力アップにもつながります。朝から持っていくのは難しいですが、部活の帰り、コンビニなど、購入できるところを見つけておくと安心かも知れません。

夏場は特に、かごなどの通気性の高い容器に入れる

夏場のおにぎりの心得
(1)お弁当用のご飯は、炊飯時に、酢(酸っぱい梅干しでも)を入れて炊飯する。

(2)基本は炊きたてを使用。無理な場合は、炊飯後冷まして、冷蔵庫や冷凍庫で保存した物をレンジで熱々にして使う。

(3)塩味をちゃんとつける。

(4)おにぎりの中身は、塩気や、酸味のある物を使用。余分な水分がある具材やマヨネーズを使用した物は、夏場は避ける。

(5)ラップや密閉式の弁当箱に詰める時は、しっかり冷ましてから。それが無理な場合は、かごなどの熱を通す素材の容器に入れる。

(6)菌が最も繁殖しやすい環境は30~35℃。この温度帯にならない程度の保冷を心がけるのが得策です。とは言え、腐敗が怖いからと保冷剤を効かせすぎると、ご飯が冷えてポロポロに固まってしまうので注意しましょう。

梅おかか焼きおにぎり

 さらに今回は、夏向けのおにぎりとして「梅おかか焼きおにぎり」をお伝えします。

焼きおにぎりの焼き方

 おにぎりを握ってから焼く作業がプラスされるので、少し手間ですが、表面を焼くことで余分な水分を飛ばし、かつ高温処理することで、しっかり殺菌ができます。プラスして、醤油などを塗ることで、表面の塩分濃度も高くなり、腐敗防止に役立ち、非常に夏向きのおにぎりです。

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