フィジカルの強みは朝食にあり

山田さんは集まった受講者に対し、それぞれの項目に関する最先端の理論を惜しみなく披露。その一端を明かすと、<2>では体重-体脂肪量=除脂肪量で筋量の増減を把握することや<3>では(1)主食(2)メインのおかず(3)野菜料理(4)果物(5)乳製品をポジションに見立てた。

(2)と(5)は体づくりに不可欠の栄養として「攻め」。(3)と(4)は野菜のビタミンAが粘膜強化→風邪予防、ビタミンCが疲労回復や関節炎の予防に効果があることに着目し「守り」とした。最後に、頭と体を動かす炭水化物の(1)が「戦略」。パフォーマンスの向上に必要な栄養素を分かりやすく解説した。全92人の部員が生活する運動部の寮の朝(ビュッフェ)昼晩(定食)の献立も写真で。出席した主将のフッカー武井日向(4年=国学院栃木)のバランスが整った実例も示しながら「明大のフィジカルの強みは朝食にあり」と笑顔で説明した。

講師を務めた管理栄養士の山田優香さん
講師を務めた管理栄養士の山田優香さん

その朝食のおかずの数(SH3つ、BK4つ、FW4つ以上)や1日の総摂取カロリーが原則、ポジションごとに決まっていることも紹介。しかし、一概にBKといっても明大には192センチ、101キロのCTB児玉樹(2年=秋田工)や、186センチ、88キロのFB雲山弘貴(2年=報徳学園)と規格外の選手がいることも引き合いに出しながら「適正体重の数値より重くても動ける選手もいるし、数値にこだわりすぎて俊敏性や持久力が落ちては困る」と柔軟に対応。食事と体重のチェック表を基に週1回の個人面談で、きめ細やかに調整している内幕も打ち明けた。

「寮食総選挙」の昼食部門で1位になったでオムハヤシの人気ぶりや「ちょい残し」禁止の約束事など、参加者の興味や共感を呼んだ講演は、あっという間に終了。継続の重要性と覚悟が必要と説いて締めくくった。終了後は、会場出口の外に立った山田さんの前に大行列。その1人1人に対し、丁寧に相談に乗って日本トップクラスの栄養学をアドバイスした。受講者が持ち帰った日本トップクラスの栄養学が新たな広がりを生み、スポーツ界全体の底上げにつながりそうだ。【木下淳】

(2020年1月20日、ニッカンスポーツ・コム掲載)