7月6日は「ナンの日」。カレーの供としておなじみのナンですが、学校給食で提供されるようになったり、スーパーマーケットに市販品が並ぶようになり、すっかり身近な存在になってきました。
インド料理のイメージがありますが、もちもちとした独特の食感はカレー以外にもいろいろな料理に応用できるといいます。家庭で簡単にできるナン料理を、江上料理学院副院長の江上佳奈美さんに聞きました。
生地から作る手間を省いて、手軽においしく
まずはフランス・アルザス地方やドイツ南部でカフェの定番メニューとなっている「タルトフランベ」をナンでアレンジ。本家は薄くパリパリの生地を使いますが、もちもちしたナンを使ってもおいしく作れます。チーズクリームを塗った生地に炒めた具をのせ、オーブンで軽く温めてフレッシュな生野菜のサラダをトッピングします。
「ピザのようにチーズをカリカリに焼かないのがアルザス風。チーズクリームの代わりにサワークリームを使ったり、ベーコンとタマネギの代わりにソーセージとザワークラウトをのせたりなど、地方によって形はさまざまです。上にのせるサラダは、シャキシャキした食感を楽しんでほしいから、食べる直前にドレッシングであえてくださいね」(江上さん)。
<ナンのタルトフランベ ハーブサラダ添え>
ふわもち食感はデザートにも
ナンはデザートにも華麗に変身します。パイナップルを使った「ハワイナンケーキ」には、小麦ふすまを加えた独特の香ばしさのブランナンがおすすめです。オーブントースターか電子レンジで軽くあたためることで、ホットケーキのような味わいに。
「ホットケーキを焼くよりも手軽で、パイナップルソースを事前に作っておけば、あっという間に仕上がりますよ」(江上さん)。
<ブランナンのハワイナンケーキ>
水分の少ないカレーなら包んで食べやすい
いわずもがな、ナンとは相性ぴったりのカレーでは、いま健康面からも注目されている豆を使った「ダルカレー」がおすすめです。インド風に、水をほとんど加えず野菜やヨーグルトの水分だけで煮込みます。
形がレンズに似ているところからその名がついた「レンズ豆」は、30分ほど浸水すればOKの使いやすい豆。皮つきが緑色で、皮なしがオレンジ色をしています。レンズ豆以外では、ひよこ豆もおすすめです。
「夏場の冷え対策に、ショウガのみじん切りもたっぷり加えました。タマネギとひき肉を炒める前に、スパイスのクミンシードを先に炒めるのが本格的な香りに仕上げるポイントです」(江上さん)。
<レンズ豆とひき肉のインド風ダルカレー>
朝はプレーン、間食にはブランナンがおすすめ
朝は食事をとることで就寝中に休んでいた肝臓を動かし、なるべく早く体温を上げることが大切です。その場合はピュアな糖質が向くため、プレーンなナンは朝食向きといえます。
一方、小麦ふすまが配合され、食物繊維が豊富なブランナンは糖質がゆっくり吸収されるため、糖質を気にされる方やデザートなどにおすすめです。
また、ナンにはビタミンCが含まれていないため、紹介した3つのレシピのようにビタミンCを含む野菜やフルーツと組み合わせて食べるとバランスが整いやすくなります。
「要冷蔵」の表示に注意
市販のナンの表示を見ると、「冷蔵庫(10℃以下)で保存」と書かれています。その理由を、「手のばしナン」を販売している株式会社ジェーシー・コムサの長谷川義孝さんに聞きました。
「『手のばしナン』は高温で一気に焼き上げることで生地に水分を閉じこめ、“もちもち感”を出しています。この“もちもち感”を維持しながら常温で販売しようとすると、保存を目的に添加物を使用することになってしまいます。当社では過剰な添加物を使用しないようにするため、冷蔵保存をお願いしています」(長谷川さん)。
購入の際にはかならず表示を確認し、冷蔵保存と書かれているものはお弁当や補食に持たせないように注意しましょう。
1989年より江上料理学院副院長を務める。祖母・江上トミ、母・江上栄子から受け継いだ伝統をふまえながら、より現代的な料理を発表している。NHK「きょうの料理」「あさイチ」など、テレビの情報番組でも活躍。