イタリアの魚料理は、洋食でイメージするようなソースを合わせたりするものは少なめで、塩、こしょうしてさっとグリルするだけというシンプルな調理法で食べるものが多くみられます。私たちが魚を塩焼きして食べるのと、何だか似ていて親近感が沸きますが、日本の刺し身のように生で食べる習慣は一部の沿岸部を除いてほとんど見られません。

 かつては流通が悪く、海でとれる魚は海岸部でしか食べられず、内陸では川魚か干しダラを戻したものを食していました。今でも、レストランでは魚料理は肉料理より高価なものが多く見られます。

 漢字で「魚へんに弱る」と記すように、鮮度の落ちやすい魚として知られるイワシ。イタリアの沿岸部の一部の地域では、グリルはもちろん、鮮度の良いイワシをさっとレモン汁や酢で締めてから食べたり、オリーブオイルでマリネをして食べたりする料理もあります。

 また小さめのカタクチイワシは新鮮なうちに塩漬けにし、発酵させてアンチョビとして保存。さまざまな料理にうま味をプラスする調味料のような役割を担うものとして、とても重宝する加工品です。

青魚に多く含まれるDHA、EPAで反射力アップ

イワシのマリネ
イワシのマリネ

 今回ご紹介するレシピは、イワシにお酢を利かせたタマネギをたっぷりのせたマリネ。青魚に多く含まれるDHA、EPAは必須脂肪酸と呼ばれ、体内で合成することができないため、食事から取り入れなければなりません。

 DHA、EPAは、血液の流れを改善し動脈硬化を防ぐことに効果があるとして知られています。さらに見逃せないのは、脳細胞の伝達を正常にし、脳の働きを良くすると言われる効能。特に、視神経への伝達を速める効果が期待できるといわれ、スポーツ選手は反射神経を高めるために、積極的に摂取するとよいという話も。

 ついつい下処理が面倒で敬遠されがちな魚料理ですが、最近は魚売り場で下処理してくれるところが増えました。またマリネをして冷蔵庫に入れておくと、すぐに食べられることはもちろん、イワシ特有の臭みも消えて身もふっくら。リンゴ酢の酸味でさっぱりといただけるうえに、酢に含まれているクエン酸には疲労回復効果もあります。

 気温も上がってきたこのシーズンに、ぜひお試しください。