良質な脂質やビタミンEを含むナッツは、栄養価の高いおやつです。コンビニなどでも素焼きのものが手に入り、気軽に購入できるところも良い点です。

しかし、良い点ばかりではありません。ナッツは「カビ毒」に注意する必要があるのです。

目に見えない、熱にも強い強い毒性

カビにも多くの種類があり、人体に影響のある強い毒性をもつカビを「マイコトキシン」と呼んでいます。湿気が強い日本は、カビが生えやすい状況下にあります。

通常の食品に生えるカビは目で見て分かるので、すぐに廃棄できますが、マイコトキシンは食品中で発生するので、目で確認できません。また熱に強いという特徴があり、調理で加熱をしても完全に分解できず、残ってしまうのです。

輸入品に多い発がん性あるカビ毒

マイコトキシンの中でも特に、「アフラトキシン」という種類は発がん性もあると言われており、摂取し続けることは避けたいカビです。アフラトキシンはナッツ、ドライフルーツ、穀類、トウモロコシなどに含まれており、これらは輸入品が多いため、長期保存をすることから一層、カビが繁殖しやすくなっています。また、コーヒーやカカオにもカビが存在する可能性があるため、これらを保存するときは品質管理をしっかりとすること、外で飲む場合も信頼できる場所で飲むことをお勧めします。

輸入品のナッツ、ドライフルーツ、コーヒーなどを多く摂っている人、グルテン(小麦)やカゼイン(乳製品)を取る頻度が高い人、抗生物質を長期投与している人は、腸の状態が悪くなりやすいので、体内でカビが増殖しやすくなります。

慢性的な症状で原因に気づかず

カビ毒を長期間摂取することで、内臓機能の障害が生じることがあります。ただし、症状としては慢性的なものが多いので、その原因に気づかないことがほとんどです。「食事はちゃんと整えているのに、慢性的な体調不良がよくならない」という人は、一度検査をしてみてもいいかもしれません。

唾液に30秒で毒性はほぼ分解される

それでは、この目に見えない、熱にも強いアフラトキシンの対策として有効なものはあるのでしょうか。それは「よく噛むこと」。加熱で死滅しないカビでも、唾液に30秒以上さらすことで毒性がほぼ0になることが分かっています。

ただこれは、唾液中に含まれる酵素がしっかり働いている場合に限ってのこと。タンパク質を日頃から十分に食べて吸収、代謝し、栄養状態が良いというのが大前提です。とはいっても、よく噛むことがカビ毒対策になることは間違いないので、今一度、噛むことを意識し、輸入ナッツは食べ過ぎないように注意しましょう。

今回紹介するレシピは「サトイモの揚げ焼き甘辛だれ」です。

今が旬のサトイモ料理は、マンネリになりがちですが、揚げ焼きして甘辛いたれを絡ませることで、煮物とはまた違ったおいしさを引き出せます。ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美