アスリートにとって、貧血は絶対に回避したい状態です。

血液中の赤血球は、酸素を全身に運んでいます。貧血の状態では赤血球が減るため、酸素が行き届かず、エネルギーを生み出すことができません。その結果、体力の低下や疲労度増加、ケガの治りが遅い、集中力の低下、病気にかかりやすいなど、アスリートにとってマイナスな状態に陥ります。

赤血球の材料やエネルギー源の不足

貧血は主に、何らかの栄養素が不足することで生じます。不足する栄養素とは、赤血球の材料である鉄、タンパク質、ビタミンB群、亜鉛、それに赤血球のエネルギー源である糖質が挙げられます。「貧血といえば鉄を補給する」ということはよく知られていますが、鉄以外の栄養素の不足でも、貧血になることがあります。

減量したかったら貧血を治すこと

減量中などの選手は、特にご飯などの糖質を減らして体重を管理する傾向があると感じます。しかし、赤血球がエネルギーにできるのは糖質だけなので、糖質不足から貧血になっていることがあります。また、脂質を減らそうと鶏むね肉中心の食事にすることで、鉄が豊富な牛肉や豚肉の赤身肉の摂取頻度が減ることも、貧血を助長していると考えられます。

減量したかったら、まずは貧血を治すこと。そうでなければ、コンディションをキープしたまま体重を落とすことはできません。運動前後には糖質補給をし、食事は主食、主菜、副菜と揃え、欠食しないなど、基本的なことをやった上でサプリメントや鉄剤を考えるようにしてください。

ヘモグロビン、フェリチンの数値を確認

健康診断の血液データでは、アスリートはヘモグロビンが女性は13以上、男性は14.5以上欲しいところ。それを下回っていたら、検査の基準値に入っていたとしても貧血の疑いがあると思ってください。

また、貯蔵鉄と呼ばれるフェリチンの数値も計ることをおすすめします。フェリチンは個人差もあるため、一概には言えませんが、アスリートならば30以上はあった方が良いと思います。ただし、フェリチンは炎症によって数値が上がるので、激しい運動後やケガをしているとき、アレルギーや鼻炎、風邪をひいているときは数値が上がることをご認識ください。

今回紹介するレシピは「カツオの梅ダレ納豆丼」です。カツオは鉄も亜鉛もビタミンB群も豊富な魚。月に2~3回食べられると良いでしょう。

卵、納豆と様々なタンパク質を組み合わせることで、アミノ酸も豊富で栄養価もアップします。梅の酸味はミネラルの吸収率をアップさせます。ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美