お肉を調理していて、「この間はおいしくできたのに、今日は固くなってしまった」「レシピ通りにやっているはずなのに、うまくできない」といったことはないでしょうか。調理も科学的に考えることで、味わいが変わってきます。温度や塩加減など、お肉を調理するときのコツをお伝えしていきます。

忙しいお母さん、料理があまり得意でない方にもオススメなのが、お肉を塩漬けする方法です。作り置きにもなりますし、腕いらず。ポイントさえ押さえれば、誰でもおいしく作ることができます。

おいしく感じる塩分濃度は2%

人がおいしいと感じる塩分濃度は、2〜3%だと言われています。市販のハムなどの塩分は3%。それだと家庭で作るときは少ししょっぱく感じるので、2%くらいがいいでしょう。塩漬け時間が短ければ(1日以内)1%程度でもいいですが、慣れていないと雑菌の問題などあるので、2%ほどにすると腐敗防止も考慮できます。ちなみに、ハムなどは食品添加物などによって、塩味をまろやかに感じるように作られているので、3%の塩分でもおいしく感じるのです。

塩漬けするのに適しているのが、豚の塊肉。もちろん牛でも良いですが、入手しやすさや金額を考えると、豚が手ごろです。焼くとローストポーク、ゆでると塩豚になります。

豚の塊肉に、2%の塩(400gだったら8g)の粗塩をぬりこみ、ラップかキッチンペーパーでくるみます。赤身の部分よりも脂身の部分の方が、塩が染み込みにくいので、脂身の部分からぬりこむと良いでしょう。

塩をぬりこんだ塊肉は、冷蔵庫で1~3日間放置します。放置する期間が長いほど、水分が抜けて、肉のタンパク質がアミノ酸に変化し(アミノ酸が濃くなり)、熟成されてうま味が出ます。放置する日数によって、肉の質感や味などにも変化があるので、試してみてお好みの程度を見つけると良いですね。長いほど、ハムのようになっていきます。アミノ酸が増え、消化に優しくなるのもメリットの1つです。

ももやひれ、赤身肉にはうま味を足す

肉の部位として、脂身の多いバラ肉や肩ロースは、アスリートは懸念しがちですが、脂身が多い方がうま味があっておいしく感じるのも正直なところです。脂身が少ないもも肉やひれ肉といった赤身の肉には、うま味成分を足して味わいを豊かにしましょう。

使うのは、うま味の代表格であるかつお節や昆布。これらを切ったものを塩と一緒に、お肉にペタペタと貼り付けます。こうすることで、これらの旨味が肉に浸透して、よりおいしく出来上がります。

また、肉を調理するときにもう1つ重要なのが、室温に戻してから調理するということ。冷蔵庫から出してすぐの冷たい肉を、すぐに加熱すると温度差によって細胞が縮まり、硬くなってしまいます。触っても冷たくないくらいの温度に戻してから調理することが、柔らかく仕上げるためには重要です。

調理してから冷蔵で5日ほど保存が可能な「寝かせ豚のうま味ローストポーク」
調理してから冷蔵で5日ほど保存が可能な「寝かせ豚のうま味ローストポーク」

今回は、これらのポイントを押さえた「寝かせ豚のうま味ローストポーク」を紹介します。ゆでるよりも焼く方がより簡単なので、オーブン焼きにしていきます。必ず、冷蔵庫から出しておき、常温に戻してからオーブンに入れましょう。

焼き終えたら、オーブンが冷めるまで余熱で加熱します。少し時間はかかりますが、このローストポークは、調理してから冷蔵で5日ほどもちます。ハムやベーコンのように他の料理に使うことができるので、アレンジも効きますし、作り置きに最適です。時間があるときにまとめて作ってしまうと良いでしょう。ぜひお試しくださいね。

管理栄養士・園部裕美