管理栄養士・尾澤真紀さんのいるジュニア栄養相談室には毎日、ジュニアアスリートが食事や栄養について質問や疑問を持って訪れます。今日は、バレーボールのクラブチームに所属する中学2年生の男子、ハル君がやってきました。

ハル君は、元Vリーガーの父の影響で小学生の頃からバレーボールに打ち込んでいます。先日、練習中に足首をひねり、靭帯損傷。そのときは落ち込んでいましたが、父からの助言もあり、気持ちを切り替えて「食事を見直す」と意気込んでいます。今日は、ケガからの早期回復のためにとると良い食事について聞きに来ました。

相談室ではまず、身長・体重を計測します。

ハル君の身体データ
14歳男子、身長170cm、体重60kg、身体活動レベルPAL1.5(ケガをしているため)、1日のエネルギー消費量2810kcal

※皆さんもまずは自分のエネルギー消費量を計算してみましょう。詳細はコチラのページへ

靭帯損傷から早期回復へ、中2バレーボール選手にスポーツ栄養士がアドバイス

丈夫なカラダを支えるコラーゲンをどう摂る?

ハル君 やっちゃいました~。靭帯損傷です。

吉田トレーナー 足首ひねったんだってね。この秋の大会は残念だけど、ケガこそチャンス。次につなげよう。

ハル君 はい。もう切り替えるしかないので今日は食事のことを聞きに来ました。早く治したくて。この前、お医者さんからコラーゲンをすすめられたんですけど、どんな食材に多いか、お母さんからも「尾澤さんに聞いてきて」と頼まれてます。

尾澤 コラーゲンは骨や関節、そして筋肉や腱を丈夫にするために欠かせないからね。ケガの回復はもちろん、普段から意識するとケガの予防にもなるよ。コラーゲンはウナギ、牛すじ、さけ(鮭)、手羽元などに多く含まれているんだけど、その中で普段食べているものはある?

コラーゲンを多く含む食品
コラーゲンを多く含む食品

ハル君 この中だと、さけくらいかな。

尾澤 コラーゲンを多く含む食品や部位は限られているからね。お魚の皮の部分やお肉の皮や骨の部分に多いので、「皮」は残さず食べた方が良いんだよ。

ハル君 そう言えば、お父さんが「皮には一番栄養があるんだ」とか言いながら魚の皮をいつも食べてたな。

コラーゲンの合成とそれに必要な栄養素

尾澤 元Vリーガーのお父さんの言うことは間違いないね。あとコラーゲンは身体の中で合成される、つまり作られるんだよ。たんぱく質が分解されたアミノ酸から作られるから、食事でたんぱく質をしっかりとろう。

体内で合成されるコラーゲン
体内で合成されるコラーゲン

ハル君 じゃあ、今までのようにお肉をいっぱい食べます!

尾澤 確かに、お肉も良いけど、お魚や大豆製品や卵とか、他にもたんぱく質を多く含む食品はあるからね。それぞれの食品に含まれる栄養素は違っていて、例えば、お魚だったら血液の流れを良くして栄養の運搬をサポートするEPA、大豆製品だったら骨を丈夫にするカルシウムやケガの回復に役立つ栄養素を含んでいるから、色々な食材をとると良いよ。

たんぱく質のほかに、コラーゲンの合成に必要な栄養素があるんだけど…。

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