③洋食・中華はメニュー選びで脂質を控える

洋食も中華料理も、調理に油やバターを使うものが多く、スポーツをする人にとっては大敵の過体重を招く高エネルギー・高脂肪になりがちです。しかし、いずれもメニュー選びの工夫はできます。

洋食レストランでは、肉や魚を使ったメニューのバリエーションが豊富ですが、たとえば、主菜として肉を選ぶ場合でも、部位によってエネルギーと脂質、たんぱく質の量は違うことを覚えておくといいでしょう(下の図)。

どうしてもエネルギーや脂質の量を控え、よりたんぱく質をとりたいのであれば、牛肉や豚肉はロース肉よりもヒレ肉を、鶏肉はささ身を選ぶようにします。

また、主菜にかかっているソースや、副菜の野菜サラダにかけるドレッシングやマヨネーズにも油が使われ、主食をパンにするとバターをつけるので、どうしてもエネルギーが高くなります。ごはん150gのエネルギーは234kcalですが、パンにバターとジャムをつけると281kcal、脂質は10・8gに増えてしまいます。

主菜にソースをかけないわけにはいきませんが、副菜の野菜サラダにかけるドレッシングはノンオイルのものにするか、かける量を少なくしてほしいとお願いすることはできるでしょう。

スパゲティやグラタンを単品で頼むと、糖質以外の栄養素が不足しがちですが、卵や魚介類のスープでたんぱく質を補うことができます。ビタミンやミネラルの不足は、サラダバーで好きなだけ食べて補いましょう。食後に牛乳やヨーグルトなどの乳製品、100%果汁ジュースをプラスすれば、ビタミンやカルシウムを補うことができます。

中華料理も、高脂肪・高エネルギーになりがちですが、レバニラ炒めや肉野菜炒め、回鍋肉、八宝菜といったように、主菜の肉や魚と、副菜の野菜類が一緒になったメニューが多くあり、たんぱく質とビタミン、ミネラルがたっぷりとれるというメリットがあります。

そこに、主食であるごはんをプラスし、食後には牛乳や乳製品をとると、栄養のバランスがさらによくなります。

チャーハンやラーメンといった主食だけでは主菜や副菜が不足するので、野菜炒めなどをプラス。ラーメンではなくタンメンや五目そば、チャーハンではなく中華丼といった具だくさんのものを選ぶのも効率的です。餃子や春巻きなど豊富なサイドメニューを副菜としてとれば、単品では不足しがちなたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが補えます。脂質が気になるようでしたら、中華風の茹で料理や蒸し料理にしてみてはいかがでしょう。

④ファストフードだけで1食済ませない

ファストフードは、注文したらすぐに食べられて、持ち帰りもできる食品を指します。経済産業省の『商業統計』によると、客単価が700円未満、料理を提供する時間が3分未満、セルフ・サービス方式を導入しているのが特徴です。

2019年の外食産業全体の売上が5年連続で前年を上回ったのは、好調なファストフードが牽引したといわれています(『外食産業市場動向調査令和元年[2019年]年間結果報告』一般社団法人日本フードサービス協会、令和2年1月27日)。

ハンバーガー、フライドチキン、牛丼、立ち食いそば・うどん、ピザ、アイスクリームなどを出す店がその代表例で、多くの顧客の心をつかんでいます。

人工香料や着色料、トランス脂肪酸などの人工添加物の使用をやめ、代替品として天然素材由来のものに切り替えるなど、健康を意識したメニューも登場しています。

それでもまだ、脂質、糖質、塩分の過剰摂取やビタミン・ミネラル不足につながりやすいのはたしかで、メニュー選びには工夫が必要です。

ハンバーガーショップでは、ハンバーガー+フライドポテト+ソフトドリンクのセットメニューがありますが、この組み合わせではどうしても高脂肪・高糖質で高エネルギーになってしまいますので、少し工夫をしてみましょう。

たとえば、チキンフィレバーガーはチーズバーガーにする、フライドポテトをやめてスープ(ミネストローネ)や野菜サラダにする、飲み物もシェイクやソフトドリンク、低果汁のジュースではなく牛乳、100%果汁ジュースにすれば、エネルギーを大幅に減らし、ビタミン・ミネラルをとることができます。

「特定保健用食品(トクホ)」と表示されたドリンクも、体脂肪を減らす、脂肪の吸収を抑えるものであって、脂肪のとりすぎを帳消しにするものではありません。脂肪を抑えたメニュー選びが必要です。

ファストフードには、カップ麺などインスタントの加工食品という意味も含まれます。どこででも安く買えて、調理も簡単ですが、手軽さに甘えてこうした食品を長く食べ続けると、栄養のバランスは大きく崩れてしまいます。インスタント食品には、骨の成分であるリンが添加物として含まれていますが、過剰に摂取すると、かえってカルシウムの吸収を阻害してしまいます。ファストフードは、それだけで1食分にするのではなく、次項でふれる補食としての役割をもたせるようにしてはいかがでしょうか。

(つづく)