<スポーツする人の栄養・食事学/第2章 スポーツをする人はなにをどう食べたらいいのか(12)>

Q、外食でも栄養のバランスがとりやすい工夫はできますか?

A、多くの外食メニューは、高脂質・低ビタミン・低ミネラルで、野菜や乳製品が不足しがちです。スポーツをする人にとっては大敵の過体重を招きます。しかし、多くの人は外食をすべてやめてしまうわけにはいきません。そこで、栄養のバランスをとりやすくするために、プラス1品を心がけ、できるだけ和食にするなどのメニュー選びを工夫してみましょう。

私たちが毎日食事をする形式は、家庭で食材を料理して食べる「内食」、レストランや飲食店、社食や学食、ファストフード店など家庭の外で食事をする「外食」、そして総菜やコンビニ弁当など外部の人の手によって調理されたものを買ってきて自宅や職場などで食べる「中食」のいずれかです。

そのうち、「外食」は、手軽に利用でき、バリエーションが豊富なので工夫次第でバランスがとりやすい反面、ごはんの量が多い、動物性たんぱく質に偏っている、揚げ物など油を使ったおかずが多い、カロリーが高く、糖質やたんぱく質以外の栄養素(ビタミンやミネラル)が少なめなのが特徴で、スポーツをする人の健康を考えたら、練習や試合に備える食事内容とはいえません。

それでも、ほとんどの勤労者や学生は、特に昼食は外食せざるをえませんので、栄養のバランスを考えてメニュー選びを工夫してみてはいかがでしょう。

①「プラス1品」を心がける

仕出し店やコンビニで買い求めるのは、から揚げやハンバーグなどの単品弁当、おにぎりとペットボトルのお茶、菓子パンと牛乳といった単純な組み合わせでしょう。あるいは、お店に入って丼物や麺類を早食いしたりして、おなかを満たしてはいないでしょうか。

そのような単品で済ませるメニューではなく、たとえば、カップラーメンにはカット野菜を、おにぎりや丼物にはきんぴらごぼうや切り干し大根などのお総菜を、サンドイッチには野菜サラダと牛乳を、そばやうどんにはツナと卵のサラダを、パスタにはゆで卵とデザートのヨーグルトをプラスして、おかず(副菜)を増やしてみてはいかがでしょう。もちろん、胃がもたれない消化吸収のよいものを選びたいものです。

②できるだけ和食を選ぶ

外食でおすすめしたいのが、和食です。和食は、低脂肪のバランス食だからです。

お店では、刺身定食、焼き魚・煮魚定食、しょうが焼き定食、天ぷら定食、トンカツ定食といったように定食メニューがおすすめです。ごはん(主食)、メインのおかず(主菜)、サブのおかず(副菜)、みそ汁(汁物)、香の物(漬物)がセットになっているので、残さないようにすればおのずと栄養バランスがとりやすくなるからです。

カツ丼や天丼といった丼物は、単品ではごはん(主食)とおかず(主菜)しかとれず、野菜が不足してしまいます。そこで、副菜として、ひじき煮、筑前煮などの煮物、ホウレンソウのおひたしなどの小鉢と、みそ汁やお吸い物をプラスします。

また、うどんやそばなどの麺類だけでは、主菜や副菜が不足しがちで、エネルギー(糖質)の補給のみになってしまいます。もりやかけといったシンプルなものではなく、野菜や海藻などの具が入ったメニューを選ぶこと、卵などのたんぱく源となるものをトッピングすること、野菜の煮物やおひたしを副菜として注文することなどを心がけるといいでしょう。

お弁当なら和風幕の内

お弁当にするなら、和風の幕の内弁当がおすすめです。お弁当は、ごはんもしっかり入っているので、糖質は十分に確保できますが、から揚げ弁当、カルビ弁当、ハンバーグ弁当、酢豚弁当といったように油を使って調理した主菜が多いので高脂肪・高エネルギー(カロリー)に、さらに野菜が少ないので低ビタミン・低ミネラルになりがちです。

最近では、緑黄色野菜の量を増やしたり、白飯だけでなく麦飯や雑穀飯を選べたり、肉と魚の主菜のバリエーションも増えたりと、健康を意識したメニューも増えています。

しかし、これでも栄養のバランスは十分とはいえず、特に野菜や海藻類は意識してとる必要があります。お弁当とは別に、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれている野菜がメインのおかず総菜を選びましょう。肉じゃが、筑前煮、きんぴらごぼう、ポテトサラダ、ゴボウサラダ、ひじき煮、卯の花、切り干し大根、煮豆、ホウレンソウのゴマ和え、白和えなど、種類は豊富です。サラダは、緑黄色野菜がたくさん入っているかを確認し、ドレッシングやマヨネーズはかけすぎないように注意します。飲み物も牛乳、野菜ジュース、100%果汁ジュース、スープ類を選べば、不足しがちなビタミンやミネラルを補うことができます。

ただし、和食では、塩分のとりすぎに注意しましょう。

次のページ脂質を抑える洋食・中華のメニュー選び、部位別の栄養価