「食生活で気をつけていることは?」の問いに、半数以上の人が「野菜を多く摂るようにしている」と回答しているというデータがあります。近年、食の知識や健康への意識が高くなって来ていると言えますね。
では、野菜の摂取目標量はどのくらいかご存じですか?
「健康日本21」(厚生労働省)の指標として「1日350g」。緑黄色野菜はその約1/3の120gです。
しかし、「令和元年国民健康・栄養調査」から実際の摂取量を見ていくと、成人の平均値は280.5g(男性288.3g、女性273.6g)で、どの年代も不足が多いことが分かります。特に若い年代の不足が顕著で、1日につき副菜1~2皿分足りないイメージです。
1日につき副菜1~2皿分足りない
副菜1皿分の目安としては、野菜のお浸し、野菜サラダ、キュウリとワカメの酢の物、具だくさんのみそ汁、ヒジキの煮物、キノコのソテーなどで、これらを1人分×2皿または2種類で2皿分プラスして欲しいところです。野菜の煮物や野菜炒めなどは野菜の使用量が多いので、1人分で副菜2皿分と考えて、いつもの食事に1日1〜2回、副菜を加えることから始めましょう。
野菜ジュースですべての栄養素は摂れるのか
野菜の話をすると、「『1日分の野菜350g使用』と書かれている野菜ジュースを飲んでいるから、毎日350gの野菜を食べているよ」と答えた選手がいました。野菜ジュースを飲めば、野菜の摂取目標量の栄養素を全て摂取できるのでしょうか。
結論を先に言うと、野菜ジュースだけでは、野菜から摂りたい1日に必要な栄養素を摂ることはできません。商品に記載されている野菜使用量が間違っているのではなく、加工することによって栄養素に変化が起こるということなのです。
野菜ジュースを作る過程で、熱に弱いビタミンCや絞りカスとなる不溶性食物繊維などは少なくなってしまいます。一方で、ビタミンEや鉄などは加工してもほとんど変わらず、βカロテンやリコピンなど加工した方が吸収率が上がる栄養素もあるのです。
野菜ジュースは野菜と完全にイコールではありませんが、手軽に足りない栄養素を補給できる食品でもあります。「今日は野菜が少ない」「外食が続いた」として、野菜不足と感じた時は、野菜ジュースを食事にプラスしても良いでしょう。紙パック1本、またはコップ1杯(200ml)を副菜1皿分と考えてください。
ただし、野菜ジュースもメーカーによって、様々な商品があります。選ぶ際は「野菜汁100%」「香料、砂糖、保存料など不使用」「多くの種類の野菜を使用」しているものがオススメです。
写真は「野菜ジュースで作る鶏手羽元とマッシュルームの炊き込みピラフ」です。見た目ではわかりにくいのですが、タマネギ、ニンジン、ピーマン、赤パプリカ、黄パプリカ、マッシュルーム、ニンニクとたっぷり野菜を使用し、野菜ジュースもプラスしています。
油で野菜を炒めることで、βカロテンやビタミンEの吸収率が上がります。野菜ジュースやケチャップの材料であるトマトに多いリコピンも、加工されて細胞膜が破壊されることで吸収率が上がります。商品の特性を知ることも、上手に栄養を摂るポイントです。