アスリートの食事の考え方は、基本の食事の形に整えることですが、学齢による考慮も必要になります。

しっかり量が食べられ、苦手なものがないお子さんは、特に心配ありませんが、食が細い、苦手なものが多い場合、日々の食事作りに苦労されていると耳にします。「カラダを大きくしたい」「身長を伸ばしたい」と親としての愛情が強い余り、おいしさや楽しさよりも「もっと食べさせたい」との意識が上回ってしまうケースもあるようです。

良いイメージがあると食トレも進む

「食事をトレーニングの一部」として考えるのは中学生後半から。小学生から中学生の初めくらいまでは、「食事はおいしく、家族で楽しく食べるもの」ということを感じられるようにしましょう。食事に対して良いイメージを持っている選手の方が、高校、大学と進んだ時に食トレをスムーズに受け入れられると感じます。

なぜ苦手なのか、どのくらいの量なら食べられるのかなど、食卓でコミュニケーションをとりながら、克服していって欲しいと考えています。苦手食材を克服した例をいくつか紹介します。

苦手食材を克服したケース

サッカークラブチームのジュニアユースに所属していたA君は、加熱した野菜が苦手でした。理由を聞いたら、「グシャッとしているから」とのこと。強火でサッと炒め、野菜のシャキシャキ感を残したら食べられるようになりました。

ラグビーをやっている小学校高学年のB君は野菜嫌いでしたが、「ミニトマトなら食べられるかも」とのこと。ミニトマト1個から始め、食べられる野菜の量や種類を1つずつ増やしていきました。

水泳をやっている牛乳が苦手なCちゃん。そのままでは飲めなくても、ココア味にしてママとのカフェタイムを楽しんだり、クリームシチューやグラタンに入れれば大丈夫になりました。

このようにお子さんと向き合うことによって、体の中に必要な栄養素を取り込むことができ、それがきっかけでいつの間にか、苦手なものが克服できたというケースはたくさんあります。

食が細いお子さんの場合は、おやつタイムも重要な栄養源になります。スナック菓子や甘いだけのスイーツを選ぶのではなく、食事としての要素がある、タンパク質やカルシウムなどの栄養素が含まれるものを選びましょう。

写真は、牛乳や卵など良質なタンパク質を使用した「サツマイモとチーズのゴマ団子」です。サツマイモはビタミンC・Eや食物繊維など、チーズにもタンパク質やカルシウムが含まれています。

レシピはホットケーキミックスを使用して簡単に作れるものを紹介していますが、ミックスを使用しない場合は爆発防止のため、必ず砂糖とベーキングパウダーを加えてください。

管理栄養士・石村智子