試合で、日頃のトレーニングの成果を100%発揮するには、試合当日だけではなく、2~3日前から「試合前の食事」に切り替えていくことが大切です。基本の考え方は、「エネルギー源となる炭水化物からのエネルギー比率を多くする」ことです。

炭水化物からのエネルギー比率を増やす

しかし、単純に炭水化物の量を増やすと体重が増えてしまうことがあるので、炭水化物の摂取比率を上げる分、脂質を控えます。簡単にできる方法としては、揚げ物など油を多く使う調理法を避ける、使用する肉の部位を脂身の少ないものにするなどです。

前提として、基本の食事の形を継続すること。その上で、主菜のトンカツをローストポークに変えてご飯の量を増やす、カツ丼を親子丼にしてサケおにぎりを付ける、というイメージを思い浮かべてください。

炭水化物をエネルギーに変換するには

もう1つのポイントは、カラダの中で炭水化物をエネルギーに変換する働きを持つビタミンB1を意識的に摂ることです。ビタミンB1は豚肉、レバー、ウナギ、豆腐、納豆、サケなどに多く含まれています。加えて、ビタミンB1の吸収を上げるアリシンも一緒に摂りましょう。アリシンはニンニク、タマネギ、長ネギ、ニラなどに多く含まれています。

ご飯の量を増やせない(食べられない)選手は、ジャガイモやカボチャといった炭水化物を多く含む食品を副菜に取り入れたり、量の割にエネルギーがある餅を活用したり、餃子やワンタンスープなどを献立に取り入れるのも良いでしょう。

写真は「サーモン棒餃子」です。餃子の皮からも炭水化物を摂取できるので、ご飯の量を増やせない選手にオススメです。

具材にビタミンB1を含む豚肉を使用してももちろん良いのですが、試合前は豚肉ばかりではなく、他の食材にも目を向けてみましょう。サケは良質なタンパク質で、ビタミンB1も含んでいます。抗酸化作用が強いアスタキサンチンはサケの赤い色の素となっているものです。タマネギにはアリシンが含まれています。秋サケのおいしい季節、ぜひお試しください。

管理栄養士・石村智子