1日の食事の推定エネルギー必要量は、日本人の食事摂取基準(厚生労働省が健康な個人または集団を対象として国民の健康の維持・増進のために制定したエネルギーや栄養素の摂取量の基準)をもとに定められていますが、あくまでも日本人の平均体位に基づいた参考として掲載されています。

活動量の多いアスリートは、必然的にエネルギー消費量も増加するため、それに伴ったエネルギー摂取量の設定が必要です。体形維持や増量、パフォーマンスを向上させるには、一般の方より多くのエネルギー摂取量を必要とするので、不足しないよう注意しなければなりません。そのためには3食にプラスして補食を活用します。

ケガして練習量が減った場合

ケガをすると練習量が少なくなるので、エネルギー消費量も少なくなりますが、以前と同じような量を食べていると、体重や体脂肪量が増えやすく、ケガが治ってもカラダを良い状態に戻すのに時間がかかってしまいます。

どの程度カラダを動かしても良いのかは医師の判断によりますが、安静の指示が出た場合は、今まで取っていた摂取エネルギー量の約8割を目安にするといいでしょう。ただし、基本の食事の形は変えません。

何かを極端に減らすのではなく、バランスはそのままで全体的に量を減らします。栄養密度が濃く、バランスの良い食事を摂らないと、ケガの治りが遅くなってしまいます。

すぐにできるエネルギー調整

以下のように、すぐに実行できることで摂取エネルギー量を調整しましょう。

副菜はしっかり摂る
乳製品は低脂肪や無脂肪のものに変更する
主菜は揚げ物など油を多く摂取する調理法を少なくする
テフロン加工など調理の油の量を控えられる調理器具を選ぶ
肉類や魚類は脂肪の少ない部位を選ぶなど調理や食材の工夫をする
ご飯やパン、麺類など主食の量をやや控える

以前から、カラダの中の変化を見るために体重や体脂肪率の記録付けをお勧めしていましたが、それをモニタリングしながら食事量を調節し、早い復帰を目指しましょう。

写真は、冬が旬のタラを使った「タラと冬野菜のミルクスープ」です。白身の魚は高タンパク質低脂肪。スープにすると野菜もしっかり摂ることができます。カラダを温める冬の野菜は、これからの季節にぴったりです。

牛乳や豆乳を使用すると、カルシウムや鉄など成長期のアスリートに必要なミネラルも確保することができます。ぜひお試しください。

管理栄養士・石村智子