女子アスリートの中には「ピルなどの薬は嫌だけど、漢方薬は大丈夫」と思っているアスリートがいます。なぜなのか理由を聞いてみると、「薬は人工的に作られたもの」「漢方薬は自然のもの」だからと言い、体に優しいイメージがあるようです。

確かに、漢方薬は自然由来の原材料が多いですが、自然由来のものだからといって副作用がないわけではありません。成分によって、「しびれ」「腹痛」「食欲不振」「むくみ」などの様々な副作用がありますし、アレルギーを起こす可能性もあります。

漢方薬と処方薬は何が違うのか

漢方薬は中国から伝わったもので、原料は草や木、動物や鉱物など自然にあるものです。植物などに備わった力を一つひとつ確かめ、組み合わせて作られています。体が本来もつバランスを整えていくことが目的で、熱ければ冷まし、冷えていれば温める、足りないものは補い、多過ぎるものはとり除くというものです。

一般的に病院で処方される薬は人工的に化学合成された物質がほとんどで、その多くはひとつの成分で構成されており、ひとつの疾患やひとつの症状に強い薬理作用を示します。それに対し、漢方薬は多くの成分を含んでいるために、ひとつの処方でいろいろな病状にも対応することができます。

また漢方薬は、病院での検査や画像診断をしても異常がないのに自覚症状があるというような病気にも向いていると考えられています。原因が特定できない慢性の病気、体質が絡んだ病気には漢方薬が向くことが多いとされます。

対して、病気の原因が特定でき、原因別の治療が可能な場合や手術が必要な場合、緊急を要する疾患、重症の感染症などには西洋医学の方が優れていると考えられています。(参考文献:クラシエ漢方セラピーhttps://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/

成分や効果が分かりづらいものも

月経に関係する漢方薬もあります。月経不順や月経痛、月経時の気分の落ち込みなどに効くとされるとして「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」「桃核承気湯」などがありますが、その成分をご存じでしょうか。

「当帰芍薬散」の成分を見ると、トウキ、センキュウ、シャクヤク、ブクリョウ、ソウジュツ、タクシャなど聞いたことのないものばかりです。これらの成分の何が、どう効果があるのか分かる人は少ないと思います。

一方、低用量ピルの成分は明確です。ヤーズというピルの成分は、ドロスピレノン(プロゲステロン)とエチニルエストラジオール(エストロゲン)で、不足しているホルモンを補えることがわかります。

自己判断での使用は危険

ドーピングの観点からも、アスリートは薬の成分がきちんとわかり、使用が許可されているものの方が安全です。前述の通り、漢方薬には副作用やアレルギーもありますし、即効性は少ないと言われていますので、市販されている漢方薬を自己判断で使用するのは避けた方が良いでしょう。使用前に、医師やスポーツファーマシストらに相談し、成分を確認してもらうのも1つの手です。

今回紹介するのは「3種のたんぱく質が摂れる炒り豆腐」です。炒り豆腐は、豆腐のほかに野菜や練り製品、卵などアレンジ次第で色々なたんぱく質が摂れる栄養価の高い料理で、このレシピでは木綿豆腐、卵、ちくわから摂れます。

「豆腐」は、エストロゲンに分子構造が似ていて「食物性エストロゲン」とも言われている「大豆イソフラボン」を多く含みます。大豆イソフラボンは摂取することでエストロゲン受容体に結合し、エストロゲンに似た作用を呈すことが知られています。

豆腐はたんぱく質以外にもカルシウムやリノール酸、オリゴ糖など多くの栄養素を含むので積極的に摂りたい食品です。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子