微量ミネラルの亜鉛。普段から気にしている選手はほとんどいないかもしれませんが、成長や貧血に関係する栄養素の1つです。貧血を疑って血液検査をすると、実は鉄ではなく亜鉛不足のこともあり、アスリートにとっては侮れません。今回は「亜鉛」についてお伝えしたいと思います。

亜鉛の働きは、酵素やホルモンの合成、タンパク質の合成など多岐にわたります。不足すると、タンパク質やDNAがうまく合成できなかったり、傷の治りが悪かったり、味覚障害に陥ったり、免疫力の低下や貧血などにも影響してきます。

貧血の時は鉄だけではなく亜鉛も不足

貧血(鉄欠乏性貧血)で鉄不足の場合、鉄を含む食品を食事から十分にとれていないことが多く見受けられます。鉄を多く含む代表的な食品、赤身の肉や魚、貝類などには、亜鉛も同時に豊富に含まれています。

つまり、毎日の食事でこれらの食品を摂っていないと、鉄だけではなく亜鉛も不足することになります。逆に言うと、貧血予防のためにこれらの食品を意識して摂るようにすると、あえて亜鉛を摂ろうとしなくても、自然と摂れるようになるということです。

貧血を疑ったときは、まずは食事自体の量が適正であることを前提に、食事の栄養バランスや食品選択を整えていきましょう。

今回紹介するのは、「サーロインステーキのタマネギソース」です。牛肉には、亜鉛と鉄が豊富に含まれています。亜鉛は、15~17歳女子で1日8mg(同男子は12mg)を推奨されていますが、このメニューだけで約半分の4mgがとれます。

塩麹で下味を付けた牛肉をじっくり焼き上げ、おろしニンニクとバターで味付けをしたタマネギソースをかけて出来上がり。調理もシンプルで選手にも喜ばれるメニューです。ぜひお試しくださいね。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子