公認スポーツ栄養士の佐藤郁子です。この「女子アスリート」のコーナーでは、小学生からトップアスリートまでの女子アスリートが、良いコンディションを保つための食事と体の情報を発信していきます。毎月第1火曜日は私が、第3火曜日は同じく公認スポーツ栄養士の上木明子さんが担当し、私は体の情報と日々の食事を負担なく、楽しく管理できる時短テクニックや献立の工夫を紹介していきます。

骨密度は18~20歳にピーク

骨は一度出来上がってしまうと、その後は変わらないように思われがちですが、実は新陳代謝によって古い骨は新しい骨に生まれ変わっています。1本の骨が新しい骨に入れ替わるには約3~4カ月、すべての骨が入れ替わるには約3~5年かかると言われています。

骨の強さを判定する指標の1つ、「骨密度」は18~20歳くらいまでにピークに達し、50歳前後から徐々に低下していきます。女子の場合、女性ホルモンのエストロゲンが少ないと、古い骨を壊す骨吸収が進み、骨密度が低下しやすくなります。「骨粗しょう症」は骨密度が低下して骨折しやすくなる病気ですが、これは閉経後の女性だけでなく、エネルギー不足からホルモンバランスが崩れて月経不順や無月経になった若い女子アスリートにも起こります。

「疲労骨折」の原因の1つでもある「骨粗しょう症」を予防するためには、骨の健康が重要です。今回は骨の健康に役立つ栄養素のビタミンDについてお話します。

カルシウムの吸収を促進

骨の健康には栄養と運動(刺激)が必要と言われており、栄養素の中でもカルシウムと同じように重要なのはビタミンDです。ビタミンDの体内での働きは「カルシウムの吸収を促進する」ことです。

近年の研究によれば、血中のビタミンD濃度が低いと、認知症や身体機能の低下、筋力の減少、血中甲状腺ホルモン濃度の増加、転倒及び骨折のリスクが高いことが報告されています。さらにビタミンDは少しの不足でも長く続くと、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まります。

日照不足の時期は特に食事から

血中のビタミンD濃度は皮膚で生成されたビタミンDと、食物から摂取されたビタミンDの合計量で変動します。日本人の場合、不足することは少ないと言われていますが、ビタミンDを多く含む魚介類をあまり食べないアスリートや屋内競技のアスリートでは不足する傾向にあるようです。

特にこれからの季節は日照時間が短くなり、皮膚でのビタミンD生産が減る可能性があるため、食事から摂取するビタミンDは不足しないようにしたいものです。15歳以上の女性の目安量は8.5μgです(日本人の食事摂取基準2020年度版より)。

今回、紹介するのは「サケの南蛮漬け」です。ビタミンDはシラス干しやイワシ、イクラ、サケなどの魚介類に多く含まれます。サケは比較的安価で、年間通して安定して流通していることなどから、ビタミンDが摂りやすい食材といえるでしょう。

今回はムニエルにしましたが、揚げたり、野菜をドレッシングであえて「マリネ」にすると、エネルギーをアップさせることができます。また、サケをそのまま焼けば、逆にエネルギーダウンとなるなど、アレンジが効きます。

野菜にドレッシングをかけて「マリネ」にしたもの
野菜にドレッシングをかけて「マリネ」にしたもの

南蛮漬けと言えば、漬け汁を多めに作って漬け込む方法が一般的ですが、漬け汁に多くの調味料が必要で時間もかかることから、今回は味付けした野菜を上にのせる方法で時短を図りました。「サケの南蛮漬け」にご飯と具だくさん汁をつければ、「主食+主菜+副菜」の形が整います。

「サケの南蛮漬け」にご飯と具だくさん汁をつければ「主食・主菜・副菜」の形が整います
「サケの南蛮漬け」にご飯と具だくさん汁をつければ「主食・主菜・副菜」の形が整います

このレシピでビタミンDは33μgとれます。サケはビタミンDの宝庫。多めに作って、冷蔵庫で3日程度の保存が可能です。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子