パートナーと目指す北京
20年1月10日、神奈川・KOSE新横浜スケートセンター。再出発のアイスショーは満員の観衆で埋まった。きらびやかな照明の先で高橋は、時に激しく、時にしっとりと滑りに思いを込めた。隣には7歳年下の村元哉中がいた。かねて興味を持っていたアイスダンス。新しいパートナーと手を取り合って滑り、少し照れくさそうにほほえんだ。
「これから2人で、氷の上で演じていくんだな。まだまだ初心者で、滑りとしても(アイスダンスの)プロの中に入っていくと全然です。本当にどうなるか分からないので、とりあえず上を見て。上を目指してやっていきたいです」
34歳の誕生日が3月16日にやってくる。ジャンプのないアイスダンスで目指すのは、36歳目前で迎える22年北京五輪。高橋にとって、26年間愛し続けてきたスケートの「魅力」とは-。
「スピード感。あのスピードは陸の上では表現しにくい。この(陸上より)少し寒い、『氷』という空気感で表現するのが、暖かいところでやるのと違っていて。氷でしか出せない空気感が魅力です」 「表現」には、得点の枠組みを超えた深みがある。そのこだわりは2人で歩む、再出発の後も変わらない。
答えのない価値を追い求める旅は、まだ続く。(敬称略、おわり)【松本航】
(2020年1月22日、ニッカンスポーツ・コム掲載)