先日のコラムで、摂取エネルギーを増やすための工夫として脂質を利用することをお伝えしました。

「エネルギーをたくさん摂るために脂質(あぶら)を利用する」と言うと、時々勘違いする方がいます。「ケーキ類やスナック菓子などをたくさん食べて良い」などと考えてしまうのです。

何がいけないのでしょうか。その理由は次の通りです。

ケーキやスナック菓子でいけない理由

お菓子はおいしいので、ついつい食べ過ぎてしまう。
お菓子を食べすぎて、おなかがいっぱいになってしまう。

お菓子類には糖質と脂質以外の栄養素はほとんど含まれていない。
本来摂るべきバランスの良い食事が取れなくなってしまう。

結果的に「摂取エネルギーだけが増えて必要な栄養素が不足する」という悪循環を生み出します。

もちろん、ケーキやスナック菓子を完全に禁止する必要はありません。楽しみ程度に量を決めて食べる分にはいいと思います。ただ、食べ過ぎには注意してください。

脂質を増やすための考え方は

では、どうすれば良いのかというと、「いろいろな栄養素をバランスよく摂りながら、脂質(あぶら)を増やす」という考え方にしてください。

理想としては「食事の中のあぶらを増やす」ことです。以前のコラムでは「調理法を変える」と伝えましたが、「食材の選び方」も重要になります。例えば、魚を1人分80g食べるとします。その際、どんな魚を選ぶかでエネルギーが違ってきます。

下の表はタラ、鯛、ブリの3種類のエネルギーと栄養成分です。重量は同じでも、魚の種類によってエネルギーは2倍、3倍と違っていることがわかりますよね。このエネルギーの違いはどこから来るかというと、含まれる脂質の量です。

魚1食分(80g)のエネルギーおよび栄養成分

種類エネルギー
(kcal)
タンパク質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
タラ 58 14.1 0.2 0.1
128 16.7 7.5 0.1
ブリ 178 17.1 14.1 0.2

※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

不飽和脂肪酸を多く含む油

油の質にも気を配れるとさらに良いです。油の摂取については、人の体の中で作ることができない必須脂肪酸を中心とする不飽和脂肪酸の割合を多く摂取したほうが良いといわれています。せっかく油の摂取量を増やすなら、不飽和脂肪酸を多く含む油を増やしたいですね。

不飽和脂肪酸を多く含む食品は魚類、植物油、ナッツ類、大豆などです。魚の油はEPAやDHAなどの必須脂肪酸を多く含んでいるので、意識して魚(特に青魚)を食べることをお勧めします。

間食に甘いお菓子ではなくナッツを食べるのもOK。ビタミンやミネラルも合わせて摂れます。

また、手軽な方法としては、料理やスープ、ドリンクに機能性を持ったオイル(オリーブ油、えごま油、亜麻仁油、MCTオイルなど)をかけて食べるなども簡単にエネルギーアップができておすすめです(この場合、運動前は胃腸に負担がかかるので避けるようにしましょう)。

これからの季節、食卓に鍋を囲むことも増えますよね。今回はブリのお刺身を買ってきて、野菜や豆腐を準備するだけの簡単メニュー「お手軽☆ブリしゃぶの作り方」を紹介します。

魚はタンパク源として重要ですが、青魚のブリはDHAやEPAなどの必須脂肪酸を多く含んでいます。さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多い食品です。今回のレシピでは、豆腐や水菜からカルシウムも摂れるので、成長期の皆さんにぜひ食べてほしいです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・久永まゆみ