普段、保護者と会話をしていて感じることは「忙しく、時間がない」ということ。その背景には共働きや、子どもの習い事の送迎といったことがあるようです。

共働き家庭が急増、子どもの送迎も

令和2年版男女共同参画白書によると、共働きの割合は年々増加し、平成24(2012)年頃から急速に拡大しています(下の図参照)。そのしわ寄せが、家事・育児の時間縮小につながっていることは言うまでもありません。

令和2年版男女共同参画白書から抜粋
令和2年版男女共同参画白書から抜粋

いかに時短で栄養のあるものを

また、保護者との料理の会話に出てくる言葉が「簡単に栄養がとれるものは?」「これを食べていればOKな食品は?」ということが多いことも理解できます。いかに時間を短縮しながら、栄養のある食事を準備できるかが重要になるでしょう。

そこで、今回おすすめするのは「ちょい足し」です。この言葉の魅力的な点は「手軽にできそう」なところですよね。簡単に栄養価をアップする、これならやれそう、やってみたくなるちょい足しポイントを3つお伝えします。

(1)トッピングでちょい足し

料理の仕上げにトッピングや飾りとして活用できるものをピックアップしてみました。

おすすめ食材と摂れる栄養素
ゴマ   =カルシウム、鉄、食物繊維、不飽和脂肪酸
かつお節 =必須アミノ酸、ビタミンD、DHA、EPA
海苔   =ビタミンB12、β-カロテン、カルシウム、マグネシウム
ネギ   =β-カロテン、ビタミンC、ビタミンK、カリウム
スプラウト=ビタミンC、β-カロテン、カルシウム、葉酸

(2)タンパク質アップのちょい足し

不足しがちなタンパク質は主菜だけでなく、副菜や付け合わせにも加えてみましょう。

おすすめ食材
シラス、桜エビ、ツナ缶、サンマ缶、ハム、ちくわ、チーズ
 =魚類はDHA・EPAの必須脂肪酸がとれる
 =骨や殻ごと食べる魚類はカルシウムも豊富
 =そのまま食べられるので補食にも活用できる

(3)冒険食材でちょい足し

忙しい中での買い物となると、いつも同じ食材の購入でメニューもマンネリ化してしまいます。少しだけ時間に余裕をもって買い物に行った時、いつもは目を向けない棚から思い切った食材を購入してみましょう。多様な食材をとりいれることで、いつもの食材ではとれない栄養素をとる機会が生まれます。

おすすめ食材と摂れる栄養素
アボカド=ビタミンE、必須脂肪酸、葉酸、カリウム
ビーツ =カリウム、鉄、亜鉛、葉酸、食物繊維、ポリフェノール
ケール =β-カロテン、カルシウム

色が濃い食品は栄養価が高いものが多くあります。

ちょい足しの実践は、食材がいつでも使える状態で「ストックしておくこと」を習慣化させることが重要です。用途別にまとめて収納しておくと使いやすく、なくなったら買い足すようにして継続して実践してみてください。

今回紹介するレシピは、栄養価の高い冒険食材を使った「長イモとアボカドとビーツの酢しょうゆあえ」です。使ったことのない食材は、使い方のイメージが沸かないことがありますが、このレシピは食材を切って調味料であえるだけ。火を使わずできるので、暑い夏にもおすすめの1品です。

ネバネバして扱いにくい長イモは袋の中でたたき割り、そのままあえるので手を汚さずに調理できます。アボカドビーツ、低脂質高タンパク質のカッテージチーズ、トッピングに海苔をちょい足しした簡単メニュー。疲れた時や食欲が低下しているときにもさっぱり食べられます。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美