ジュニアアスリートの保護者向けセミナーをする中で、多く聞かれる質問が「豆乳を飲ませていますが、牛乳の代わりになりますか?」というものです。アスリートの食事の基本的な食事構成を説明する際、「牛乳・乳製品」と出てくるため、「食物アレルギーはないけれど、子どもが牛乳は苦手なので代わりに…」と思う方がいるようです。

牛乳、豆乳ともに「乳」が付きますが、成分は全く違います。牛乳は文字通り、「牛の乳」です。カルシウムが多くビタミンAやB2も含まれています。動物性食品のため脂質の内容は飽和脂肪酸です。それが集まったものがバターになります。

一方、豆乳は「豆の乳」。植物性の食品でカリウム、葉酸、鉄分などが含まれていますが、牛乳と違ってカルシウムは多くありません。脂質は不飽和脂肪酸です。昔は豆臭さがたって飲みにくいものでしたが、今は加工技術がよくなったことでかなり飲みやすくなりました。

同じ「乳」「ミルク」でも成分に違い

同じ「乳」でも牛乳に代わるものではないので、カルシウム源として考えるならば、牛乳をおすすめします。ただ、肥満気味で牛乳を飲み過ぎる傾向がある場合や、カルシウムというよりも貧血予防を考えるなら、葉酸や鉄分のとれる豆乳を使うのもいいでしょう。

最近は豆乳のみならず、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク…と、「植物性ミルク」と表記される様々なドリンクがあります。「ミルク」と言っても見た目が牛乳に似ているだけであり、成分の特徴はそれぞれ違います。

アーモンドミルクはビタミンEが多く、抗酸化作用が強いのが特徴。ココナッツミルクは脂肪分が高く、甘さも濃厚。ライスミルクは低脂肪、低カロリーでビタミンを多く含んでいます。ネーミングのイメージだけで判断せず、原料をはじめ、どのような食品かをよく調べて上手に取り入れていきましょう。

今回紹介するのは「高野豆腐とアサリの卵とじ」です。高野豆腐は高タンパクな食品の上、乾物ですから日持ちするのでとても便利。さいの目状のものや刻んだ形状のものまであり、戻す時間もそれほどかからずに使えるので、常備しておくとよいでしょう。アサリは、ボイル済みの冷凍品や缶詰などをストックしておくと、色々な料理に使えます。

シーズンが終了した競技は、冬に向けて体作りが本格化する時期です。高野豆腐、アサリ、卵でがっちりとタンパク質や鉄分がとれます。だんだん寒くなるこの時期も、しっかり動き続けられるカラダをつくりましょう。

管理栄養士・月野和美砂