「先生、俺はこのケガで選手生命を絶たれた選手を何人も見てきた。あの時、言わなかったけどね…」
「それがまさかね…まるでトカゲだな(笑)」

高校で、女子バレーボール部の顧問を務めていた時のことです。いつも10人くらいのチームで全国を目指し、戦い続ける中で、よくアクシデントに見舞われました。

ある日、いつも通りに練習を進めていた時、スパイクを打つ反対側で、ブロックに飛んでいた選手が「うっ!!」と小さく叫んで、その場に転がりました。シューズの上から足を押さえ、声も出せません。

すぐに応急手当てをし、いつもお願いする柔道整復師の先生のところへ車で搬送しました。その間も話ができる状態ではなく、ケガのひどさを感じ取っていました。

足首の外側だけでなく、内側も前側の靱帯(じんたい)が断裂。全治3カ月でした。

そこから復活のための時間が始まりました。

腫れが引くまではこうして…。
腫れが引いたらこれを始めて…。
最初はここまで、まだ松葉づえは使って…など、細かく制限を設けながら復帰への道のりを歩み始めました。   彼女は弱音を吐くことなく、リハビリを続けつつ、受傷してない部分の筋力トレーニングに励みました。定期的に通院し、当初言われた3カ月より早くコートに戻り、最後の試合まで無事に競技を続けました。

その柔道整復師の先生が私に言ったのが、冒頭の言葉です。その先生は、神奈川国体の際の柔道のトレーナーを務め、また多くの柔道選手のケガを治療してきました。

驚異的な短期回復の理由

その言葉を聞いた時、驚くような短期間での復帰について、1つ思い当たる節がありました。それは彼女の「食生活」です。毎年、横浜市スポーツ医科学センターで行っていた検査で、栄養面が抜群に良かったのです。

中学・高校の選手の活躍できる期間は、長くても2年半。1つのケガが治り、コートに復活しても、それまでと同じプレーができるまでには時間がかかります。ですから、1日でも早く治ることがとても重要なのです。

日々の食事内容が良ければ、復帰までの時間が短くなると、彼女をはじめ、多くの選手と接してきて感じています。このことを私は実際、スポーツ栄養のセミナーをする際に中高校生に話しています。

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