皆さんは、「外食」と「中食」の違いを知っていますか。厚生労働省e-ヘルスネットによると、外食とは、レストランや回転寿司などの飲食店や喫茶店、居酒屋など「店内で食事をすること」を指し、中食とは、コンビニエンスストアやスーパーなどでお弁当や惣菜を購入したり、飲食店のデリバリーを利用したりして、家庭外で調理・加工されたものを「家で食べること」を指します。

頑張ろうとするあまり食事作りが負担に

私は、栄養セミナーや栄養指導をするときには「理想と現実」という言葉を多用します。子どもや家族の健康や身体作りを考えて、「手作り」「旬の食材をふんだんに使う」「タイミングに合わせて必要な栄養素をとる」という理想を掲げていても、現実は「買い物に行く時間がない」「練習前後に食事を用意してあげられない」「栄養の勉強をする時間もない」という方が多いのではないでしょうか。

夏は、買い物から自宅に食材を持ち帰るだけでも衛生面が気になります。さらに調理して、それを持ち運ぶとなると注意することが増えるので、ますます食事作りの負担を感じることでしょう。

便利なサービスを賢く利用しよう

時には、外食や中食を利用しても良いのです。今は、家事の負担を軽減する宅配サービスも普及していますし、冷凍弁当や冷凍総菜を使っても良いでしょう。私は、野菜や日用品はネットスーパーで購入しています。理想と現実のギャップを和らげて、溝を埋めるためにも便利なサービスは前向きに利用すべきだと考えます。

ただし、これらのサービスは「賢く選んで上手に活用すること」が大切です。外食や中食を頻繁に利用する上でのリスクは次の通りです。

外食や中食を利用するリスク
・主食、主菜が中心でエネルギー過多になりやすい
・塩分、質の悪い油脂、食品添加物が多くなりやすい
・野菜不足になりやすい

つまり、外食するときはお店選びやメニューの選び方がポイントになってきます。できれば、主食・主菜・副菜と定食スタイルを揃えやすい店がいいですね。ファミリーレストランやファストフード店に行ったときは、次のことを意識してみましょう。

ファミリーレストランでの意識ポイント
・メニューに記載されている栄養成分表示を参考に。
・ハーフサイズメニュー、ヘルシーメニューを組み合わせる。
・ドリンクバーによるジュース類の飲み過ぎを防ぐ。
・普段食べられない食材(野菜や海藻類、魚など)を使ったメニューを選ぶ

ファストフード店での意識ポイント
・サイドメニューのサラダや小鉢をプラス。
・麺類の汁は全部飲まず、半分残す。

中食を利用する場合、料理を選ぶ時のポイントは次のようになります。

中食を利用するときの意識ポイント
・主食、主菜、副菜を揃え、栄養バランスのよい食事になるよう心がける。
・栄養成分表示を見てエネルギー量や塩分量をチェックする癖をつける。
・脂肪や塩分の多い料理を控える
・普段、摂取しにくいメニューを選ぶ。

夏休みになると、子どもの昼食作りや遠征のお弁当作りなど、保護者の皆さんはさらに忙しくなると思います。家庭で作ったものと中食を組み合わせても良いと思います。また、子どもの栄養のことだけでなく、保護者自身の食事量や栄養を考えることを忘れずにいてください。

今回は「エビ団子もち米蒸し」を紹介します。シイタケ、エビ、鶏ひき肉がたっぷり入っています。時間があるときに一度にたくさん作って1つずつラップで丸め、冷凍保存しておくのもいいですね。レンジで加熱すれば立派な主菜になります。

蒸し器がなければ、蓋付きのフライパンや鍋でも代用できます。フライパンや鍋に、底が平らな耐熱性のザルやお皿を逆さに置いて「台座」を作り、3cmほどの水を注いで沸騰させて蒸気がしっかり上がったら食材を台座の上に置き、蓋をしましょう。あとは火が通るまで加熱すれば出来上がりです。

蒸し時間が長いと水分がなくなってしまうこともあるので、水をつぎ足しながら加熱しましょう。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ